【高齢者の健康チェック】バイタルサインの重要性と正常値・測定方法とは

【高齢者の健康チェック】バイタルサインの重要性と正常値・測定方法とは

血圧や体温などのバイタルサインは健康状態を示す指標です。
バイタルサインの測定は、ご利用者さまの健康状態の把握と身体機能などの異常を確認するためにおこないます。
今回は、バイタルサインについてご紹介します。

バイタルサインとは

バイタルサイン(Vital signs)は、体温・血圧・脈拍・呼吸数・酸素飽和度のような、身体の生命活動や健康状態を示す重要な指標です。

これらの数値を測定することで、ご利用者さまの現在の状況を客観的に評価でき、正確に伝えられます。

バイタルを測定する目的

バイタルを測定する目的は、ご利用者さまの状態が正常値や基準値から外れていないか、前回の測定値と比べてどの程度変化しているかを確認することです。正常値から大きく逸脱している場合は即座に適切な処置が必要です。また、前回の測定と比較して悪化や改善がみられる場合は治療方針やトレーニングなどの調整が必要です。

早急な処置が必要か否か、バイタルが正常かは、個々のご利用者さまの状況によって異なります。
定期的なバイタル測定、正常値や基準値の理解によって、異常の早期発見を可能にし、ご利用者さまの体調管理をおこないます。

バイタル測定により、治療方針やトレーニングなどの調整

高齢者におけるバイタル測定の重要性

さまざまな健康問題や慢性疾患を抱えている高齢者は多いため、定期的なバイタル測定は健康状態を評価する上で重要です。
高齢者は病気や怪我による合併症のリスクが高く、急速に悪化する場合があるため、バイタルサインの異常は重大な問題の兆候となることが少なくありません。
定期的なバイタル測定は、急激な変化を早期に検知し医学的介入、治療効果の監視や調整のためにも必要です。
薬物治療を受けている高齢者は、血圧や脈拍の変化が副作用や薬物相互作用の早期警告となる場合があります。

また、認知症のある方は、体調不良や異変への自覚が乏しくなりがちです。
デイサービスなどの専門職が正確なバイタル測定と結果を理解したサポートをおこなうことが、ご利用者さまやそのご家族さまに安心していただくことにつながります。
高齢者の健康状態は生活の質に直接影響があるため、異常を早期に発見し、適切に治療やケアをおこなうことで、より快適で健康的な生活を送れます。

高齢者のバイタルサイン正常値(基準値)

計測方法高齢者の正常値測定指標
体温約36~約36.9℃疾患や感染症のサイン
血圧最高血圧:145~150
最低血圧:75~85
心臓から出た血液が血管の壁を押す力
脈拍約50~70回/分身体のすみずみまで血液が行き渡っているか否か
呼吸約14~20回/分呼吸器系の健康状態
酸素飽和度約90~100%呼吸器・心血管系の問題(血液中の酸素の濃度を表す)

高齢者は加齢に伴う血管の弾力性の低下によって収縮期血圧は上昇がみられ、拡張期血圧は低めになる傾向があります。

バイタルサインの正しい測定方法とポイント

体温

  1. 脇の中央部よりやや前方よりに体温計の先端部を当てる
  2. 体前下方から後ろ上方に向けて挿入し、上腕を下して脇を閉じ測定

体温を測るときのポイント

  • 脇の下に発汗がある場合は乾いたタオルで拭きましょう。
  • 麻痺がある場合、麻痺側は代謝が低く体温も低くなりがちなので、必ず健側で測定します。
  • 体温が高くなる傾向にある早朝から夕方にかけて、毎日一貫した時間帯に測ることが重要です。
  • 体温が上昇しやすい運動や入浴、食事の直後は避けます。
  • 個人差がありますが、一般的に、平熱から0.5℃で微熱とみなします。
検温

血圧

  1. 仰向けの心臓の高さに合わせて血圧計を水平に置く
  2. 手のひらを天井に向け、力を抜いて腕を伸ばし、手指を開きぎみにする
  3. マンシェットを指が1〜2本入るくらいの緩さで上腕に巻いて測定

※マンシェット:血圧計の圧迫帯のこと

血圧を測るときのポイント

  • 毎回同じ時間帯、同じ姿勢、同じ部位で測定すると、一貫性のあるデータを得られます。
  • 運動や食事、入浴後は、30分~1時間ほど経過してから測定することで、活動による一時的な血圧変化を考慮できます。
  • 高血圧や動脈硬化の疑いがある場合は触診法と聴診法を併用し、より正確な血圧値を測定します。
  • 尿意や便意があると正確な血圧が測れないため、測定前にトイレを済ませましょう。
血圧測定

脈拍

  1. 右手の人差し指、中指、薬指の3本をそろえ、右手関節内側の動脈に沿って当てる
  2. 1分間、リズムをみながら測定

脈拍を測るときのポイント

  • 毎回、同じ時間帯や状況で測定すると、一貫性のある結果を得られます。
  • リラックスした安静状態であることを確認し、会話を控えて座って測定することが大切です。
  • 腕を伸ばして横に置き、手首の内側に指先を当てます。
脈拍を測る

呼吸

  1. 「吸って吐く」を1回と数える
  2. 1分間、胸部や腹部の動きをみながら測定

呼吸を測るときのポイント

  • 自然な呼吸を確認し、相手に意識させないようにします。
  • 通常、脈拍測定と同時におこなわれます。
  • 呼吸の上下運動が見えにくい場合は胸部や腹部に手を軽く置いて呼吸を感じ、リズムや深さを評価します。
  • 呼吸の特徴を注意深く観察し、ゼーゼーやヒューヒューといった異常音、咳や痰の有無も確認します。
  • 咳や痰、胸の圧迫感、顔や口唇の色の変化など、呼吸に関連した症状や異常も確認します。
呼吸

酸素飽和度

  1. パルスオキシメータのプローブを爪の根元に当たるように装着
  2. 電源ボタンを押し測定

酸素飽和度を測るときのポイント

  • 動揺や不安が酸素飽和度に影響を与える可能性があるため、体調やメンタルが安定しているかしっかり確認します。
  • 手先が冷えている場合は末梢の血流が不足している可能性があるので、マッサージなどで血流を促進させてから測定します。
  • 計測数値だけでなく、微細な変化や不調を見逃さないことが大切です。
  • 「よく眠れない」といった話は、重大な病気の前兆である可能性も考えられます。
  • 少しでも気になることがあれば教えてください。
酸素飽和度(パルスオキシメータ)

まとめ

異変の早期発見や適切な治療・ケアの提供に欠かせないバイタルサインの重要性をお伝えしました。
定期的なバイタル測定によってご利用者さまの些細な変化を敏感に察知できるため、日々の健康管理だけでなく異常の早期発見につなげることができます。
また、バイタルサインは、デイサービスのご利用者さまが機能訓練などのサービスを安全に受けられるかどうかの判断材料にもなります。
無理なくサービスを受けられるよう、基本的な健康状態の把握や体調管理のために、日々バイタルサインを測定しています。

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