高齢者の生活環境における湿度と温度の重要性と熱中症対策

温度計を持つ高齢者


体温調節機能が低下している高齢者は、暑さや寒さに気付きにくいため、季節ごとに変化する湿度と温度にうまく対応できなくなります。
特に熱中症にかかるリスクが増加する夏は、適切な湿度と温度の管理が必要となります。

今回は、高齢者の健康を守るための湿度と温度の重要性と熱中症対策についてご紹介します。

高齢者における湿度と温度の重要性

湿度と温度の管理は、高齢者の健康を守るために重要です。

適切な湿度と温度に設定することは、体調不良や免疫力低下のリスクが減少するため、感染症予防に役立ちます。
また、高齢者の精神的な安定にもつながります。

しかし、高齢者は体温調節が難しく、寒さや暑さを感じにくいため、季節ごとに湿度と温度を調整する対策が必要です。

温度計・湿度計

最適な湿度と温度

最適な室内環境を保つためには湿度と温度、両方の管理が必要です。
適切な湿度と温度は季節ごとに異なります。

夏と冬の湿度と温度の目安は次のとおりです。

湿度:45〜60% 程度

温度:25〜28 程度

湿度:55〜65% 程度

温度:18〜22 程度

湿度と温度の感じ方には個人差があるので、上記を参考に設定してください。
高齢者の健康状態に合わせて湿度と温度管理をし、快適な室内環境を維持しましょう。

高齢者が夏場に寒がる理由と対策

高齢者が夏に重ね着をして、寒がっていることはありませんか。 
ここでは、高齢者が夏に寒がる理由と対策を解説します。

寒気を感じる高齢者

体温調節機能の低下

高齢者は、加齢による筋肉量の低下や身体機能の衰えで発汗量が少なくなり、体温を一定に保つ体温調節機能が弱まる傾向があります。
そのため、気温が高くても体が十分に温まらずに、寒さを感じることがあります。


定期的に運動をして体力を維持することで、体温調節機能の低下を遅らせることができます。

以下の運動のポイントを参考にして、体力向上に努めましょう。

  • 毎日15分以上の運動を心掛ける
  • 軽い汗をかくことのできる運動を選ぶ(例:早歩き、ウォーキング)
  • 無理のない範囲でおこなう
  • 運動前後にコップ1杯の水分補給をする

軽い汗をかく程度の運動を、できるだけ毎日継続しておこないましょう。

理由
1

血行の悪化

高齢者は年齢とともに血管が硬くなり、血行が悪くなる傾向があります。
血行不良になると、手足の末端部分が冷えやすくなるため、夏でも寒さを感じることがあります。


血行を良くするためには、栄養素の吸収効率が高い運動直後のタイミングで、糖質とたんぱく質を含んだ食べ物を摂取することが重要です。
そうすることで血流量が増加して、血行の改善効果が期待できます。

理由
2

体脂肪の減少

高齢者は、体温を保つ機能がある体脂肪が減少する傾向があります。
体脂肪が減ると体の保温機能が低下し、寒さを感じやすくなります。


改善するには、適度な運動と食事に気を付けることが大切です。
運動では体脂肪を減らし過ぎない程度に、筋力を強化して健康的な体脂肪のバランスを保つように心掛けましょう。
また食事では、たんぱく質と脂質と炭水化物の3つをバランス良く摂取することが大切です。
中でもたんぱく質は、筋肉の維持に必要で、重要な栄養素です。

理由
3

不適切な湿度・温度がもたらすリスク

不適切な湿度・温度であると快適に過ごすことはできません。
ここでは、不適切な湿度・温度がもたらすリスクを解説します。

感染症などのリスク

適切な湿度と温度が保たれていないと、高齢者の感染症のリスクが高まるなど、健康にさまざまな影響を及ぼします。

主に以下のような影響を及ぼします。

  • かぜやインフルエンザの発症
  • 免疫機能の低下
  • 呼吸器系トラブル
  • 皮膚トラブル
  • 心血管系への負担
ウイルス

湿度が低いと、鼻や喉の粘膜は乾燥しがちになります。
乾燥すると、ウイルスや細菌が粘膜に付着しやすくなり、かぜやインフルエンザといった上気道感染症のリスクが高まります。
また、呼吸器系の機能が弱っている高齢者が、湿度と温度が適切でない環境で呼吸器系の粘膜が乾燥してしまうと、気管支炎や肺炎などを発症する場合もあります。
さらに、高齢者の心臓や血管に負担がかかると、心臓疾患や循環器系の問題がある場合、悪化させてしまうこともあります。

リスク
1

熱中症のリスク

高齢者は熱放散能力が低いため体温が上昇しやすく、体内の水分や塩分が不足していると熱中症のリスクが高まります。
また、体温調節機能が弱まっている場合、温度の変化に気付きにくいため、熱中症になりやすいです。

高齢者がなる熱中症の症状は、次のとおりです。

  • 体温の上昇
  • 頭痛
  • めまい
  • 失神
  • 吐き気、嘔吐
  • 意識の混乱
  • 動悸、息切れ
熱中症気味の高齢者

体内の水分や塩分のバランスが崩れると、熱中症初期症状のめまいが現れます。
脱水や体温が上昇すると、脳に悪影響を与えて意識が混濁することもあります。
また高齢者は、心臓と循環器系の機能が低下している傾向があるため、熱中症になると動悸や息切れが生じることもあります。

リスク
2

熱中症の予防策

高齢者の熱中症を予防するには、以下の対策が有効です。

熱中症対策

適切な水分摂取

定期的に水分を摂取することは、熱中症の予防に役立ちます。
高齢者は喉の渇きを感じにくいため、水分が不足していることに気付きにくいです。
そのため、水分補給をこまめにおこなうようにすることが大切です。

暑い日や運動後は、積極的に水分を摂取するようにしましょう。
ただし、水分を摂り過ぎると腎不全や水中毒になるリスクがあるので注意が必要です。

予防
1

室内の涼しさを保つ

室内では、エアコンや扇風機などを使って適切な温度を保ちましょう。
猛暑日や高温多湿な日は、できるだけ涼しい室内環境で過ごすようにしましょう。

予防
2

適切な服装

通気性の良いゆったりしたデザインの服や、吸水性や速乾性のある素材を使用した服など、涼しい服装で過ごしましょう。

ご家族さまや介護者は、室内外の温度差に対応できるよう、定期的に高齢者の服装をチェックし、適切な服装の提案や羽織りものを用意して体温調節ができるようにすると良いでしょう。

予防
3

適度な運動と食事

適度な運動と食事も熱中症の予防に効果的です。
運動をすると血行を促進して、体温の調整をサポートします。高齢者の過度な運動は負担になるため、無理のない範囲で取り入れましょう。
また、食事から必要な栄養素を摂取すると、体の機能を維持することができます。
夏の暑い時期は、冷たい食べ物や飲み物、水分を多く含んだ料理を取り入れ、体内の水分バランスを保つように心掛けましょう。

予防
4

熱中症の早期発見と対応

高齢者が熱中症に気付くためには、体調の変化や不快感を敏感に感じ取れるようにすることが重要です。
熱中症の症状がある場合は、体を冷やして水分を補給し、涼しい場所で安静にして休憩をします。安静にしていても症状が改善しない場合は、医療機関を受診するなど迅速に対応して命を守りましょう。

美容院

まとめ

適切な湿度と温度の管理は、高齢者の健康を維持するために大切なことです。
高齢者は体温調節機能が低下している傾向にあり、温度の変化に気付きにくいため、湿度や温度を適切に管理する必要があります。
管理ができていない場合、感染症や熱中症などさまざまな健康のリスクが高まってしまいます。そのため、高齢者が健康で快適な生活が送れるよう、ご家族さまや介護者は食事や服装、室内の温度などに配慮することが大切です。

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