高齢者がお風呂に入りたがらない理由は?シャワーでもいい?原因と対応方法
高齢のご家族さまがお風呂に入りたがらないという理由で、対応にお困りの方も多いのではないでしょうか。
ご家族さまによる入浴介助は、本人もご家族さまもストレスが溜まってしまうことがあるため、大変だと感じたら、デイサービスや訪問介護の利用もおすすめです。
今回は高齢者が入浴拒否をする理由や対応方法、入浴介助の方法について解説します。
目次
高齢者がお風呂に入らない理由
高齢者がお風呂に入らない主な理由として、認知機能や体力の低下が挙げられます。ご家族さまや介護者の方は、入浴を拒否する理由を正しく把握することが重要です。
高齢者が入浴拒否をする4つの理由
- お風呂に入る必要がないと思っている
- お風呂に入るのが面倒と感じる
- お風呂の入り方がわからない
- 浴室に嫌なイメージがある
お風呂に入る必要がないと思っている
世代によっては毎日お風呂に入る習慣がなく、数日に1回銭湯に通うことが当たり前だったという方もいます。
そのような方の中には、必ずしも毎日入浴しなくてもいいという考えの方もいるでしょう。そのため、入浴する必要性が感じられず、入浴を拒否している可能性があります。
また認知機能の低下によりいつ入浴したのか曖昧になり、お風呂に入っていないのにすでに入ったと勘違いしてしまう、自分の体の汚れや体臭を認識できず、入浴が必要なのか判断できなくなる場合もあります。
お風呂に入るのが面倒と感じる
高齢になり体力や筋力が衰えると、お風呂に入るのが面倒と感じる方も多くなります。
湯船に入ったり出たりする作業だけでも体力を消耗するため、お風呂に入るのが「体力的にしんどい」と感じる方もいるでしょう。
お風呂に入ることが体力的にきつくなってくると、入浴後の爽快感やリラックスした気持ちよりも、疲労感が勝ってしまい、お風呂に入ることが面倒に感じてしまう場合などもあります。
認知症でお風呂の入り方がわからない
認知症の場合、自分でできないことを認識できず、入浴で介助が必要なことを理解できていないことも多いです。さらに、認知症が進行し、お風呂の入り方がわからなくなってしまう方もいます。脱衣所につれていかれても、何をする場所なのか想像できず不安や恐怖心を感じます。
また、裸にならなければいけないことにより、不安や羞恥心を感じ、入浴拒否につながってしまいます。
浴室に嫌なイメージがある
浴室自体に嫌なイメージを持っていることが、入浴拒否につながっている可能性もあります。
高齢者が浴室に不安を感じやすい理由は、以下などがあげられます。
- 床が滑りやすい
- 床が冷たい
- 椅子の高さが低い
- 湯船が深くて入りにくい
浴室で転倒した、または転倒しそうになった経験がある方は、入浴自体に恐怖心を持ってしまうことがあります。
床が滑りやすい場合や湯船が深い場合は、転倒しないようにしっかり支えてあげてください。
椅子が低くて座ったり立ったりしにくい場合は、高さのある椅子に替えるとひざや腰に負担がかかりにくくなります。
浴室や脱衣所が寒い場合は、温度差で心臓や血管の疾患が起こる「ヒートショック」が起きやすくなるため、ヒーターなどで事前に温めておきましょう。
さまざまな対策をしても恐怖心がぬぐえない場合は、手や足を濡らすことから始めて、徐々に慣れてもらうのもおすすめです。
▼高齢者が入浴しないとどうなるか、また入浴をすることで得られる効果などはこちら
高齢者がお風呂に入らないときの対応方法
高齢者はお風呂に入りたがらず、手を焼いている方も少なくありません。「話を聞いてくれない」と決めつけずに、対応方法を見直してみましょう。
お風呂に入りたくない理由を聞く
「お風呂に入りたくない」といわれたら、なぜそう思うのか、まずは理由を聞きましょう。入浴拒否をする方は入りたくない理由があるはずです。
「汚いから入らないとだめ」「時間がないから早く入ろう」といった、否定したり無理強いしたりするのは逆効果です。
お風呂に入りたくない理由を聞き、一度考えを受け止めてから、気持ちに寄り添いながらサポートできることは何かを考えるようにしましょう。
お風呂への誘い方を工夫する
入浴自体を理解している方であれば、「入浴剤を入れてみない?」「一番風呂ですよ!」など、興味を引きそうな言葉を選んで声掛けしましょう。
また、湯船に入るのを嫌がるようであれば、「下半身だけシャワーで流しませんか?」のようにできる範囲でおこなうことも効果的です。
「それくらいならいいよ」と受け入れてくれるケースもあり、シャワーで流しているうちに「やっぱり湯船に入ろうかな」となる方もいます。
認知機能が低下している場合、「お風呂に入ろう」といっても一連の流れが理解できない場合があります。「脱衣所にいきましょう」「服を脱ぎましょう」「体を洗いましょう」など、具体的に何をするか伝えると効果的です。
入浴介助の方法
入浴介助をおこなう際は、事前準備と介助の手順を把握しておくことが重要です。
入浴介助の準備と手順
なるべく短時間ですべての工程を終わらせられるように、入浴介助の前に、必要に応じて以下の道具を準備しておくとよいでしょう。
- 大きくて吸水性のあるタオル
- ボディソープ
- スポンジやボディタオル
- シャワーチェアと転倒防止マット
- 保湿クリーム、薬、爪切りなど
- 着替え、オムツ、尿取りパッド
- 防水加工のエプロン
- ゴム製の滑りにくい靴
- ゴム手袋
入浴前後の注意点
高齢者の入浴介助をおこなう際の注意点は以下のとおりです。
- 入浴のタイミングは、空腹時や食後を避ける
- 心臓から遠い足元からお湯を掛ける
- 入浴時間を短めにする
- 入浴後は足の裏をしっかり拭く
- 水分補給を忘れない
空腹時は、低血糖によるめまいや貧血などを引き起こす可能性があるため避けましょう。また、なるべく体に負担を掛けないよう、入浴前は足元からお湯を掛け、湯船につかる時間は5分以内を目安にしてください。
入浴後は、滑って転倒しないよう足の裏をしっかりふき取り、脱水症状にならないように、水分補給を忘れないようにしましょう。
DS訪問看護ステーションでは「清潔ケア(入浴や足浴)による保清、皮膚トラブル予防」などもおこなっています。
要介護認定を受けている方はもちろん、医療保険でのご利用、難病や精神疾患のある方など、訪問看護を必要とする方であればどなたでもご利用可能です。
高齢者のお風呂についてよくある質問
高齢者のお風呂についてよくある質問を2つご紹介します。
どうしてもお風呂に入りたがらない場合の参考にしてください。
- シャワーだけでもいい?
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体調が悪い日は無理せずシャワー浴のみでも問題ありません。シャワー浴は体力の消耗を抑えられて、湯船に浸かるよりも心臓の負担が少ないといわれています。
一方で、シャワー浴は体の芯が温まらないため、副交感神経が働きにくくなるのがデメリットです。
副交感神経がうまく働かないとリラックス効果が得られないため、ストレスが溜まりやすかったり、眠りが浅くなったりする不安があります。そのため、シャワー浴のみの場合は洗面器やバケツなどに40度~42度のお湯を溜めて、足湯をしながら入ることがおすすめです。
- どうしても入りたがらない場合は?
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どうしてもお風呂に入りたくないといわれてしまった場合は、デイサービスや訪問看護など入浴介助のサービスを利用する方法もあります。
介護スタッフは入浴を嫌がる高齢者に慣れているため、入浴への声掛けや介助がスムーズです。また、場所が変わることで本人の気持ちが変化する場合があります。サービスを利用するには介護認定が必要になるため、まずはケアマネジャーに相談てください。
まとめ
高齢者がお風呂に入らたがらない場合、本人を責めるのではなく寄り添いながら接することが大切です。
入りたくない理由を確認し、本人の気持ちにあわせた対応を取るようにしましょう。
入浴介助は本人にも家族にも負担がかかるため、デイサービスや訪問看護をうまく利用しながら、無理のない範囲で手伝うようにしてください。
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「トータルリハセンター(TRC)」では、機能訓練などに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃、口腔機能向上のためのプログラムなど多角的に日常生活動作(ADL)の維持・改善に取り組んでいます。
「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。
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