関節痛予防のための日常生活に取り入れる対策と解決法

関節痛予防コラム

冬になると膝や腰、肩の関節などの痛みが増すことはありませんか?
関節痛の原因はさまざまですが、寒い時期は「血行不良」が挙げられます。
冬場は寒さで手足の血管が収縮するため、血流が悪くなって、筋肉が冷えてこわばり、関節に大きな負担を与えて痛むことがあります。
また季節に関係なく、「立ち上がると膝が痛い」「膝が痛くて階段の昇り降りがつらい」という方は、変形性膝関節症かもしれません。

今回は、変形性膝関節症などの関節痛の予防と対策をご紹介します。

関節痛とは、関節の周りで生じる痛みのことです。
関節痛は、膝・肘・手指や足指の関節・手首・腰といった部位に発症します。
とくに全身の体重を支える膝の関節は日々多くの負担がかかっているため、痛みを起こしやすい部位です。
膝に痛みを抱える日本人は1000万人以上といわれ、そんな膝の痛みで一番多いのが関節の老化ともいえる「変形性膝関節症」です。

膝が痛い高齢女性イラスト

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝の骨の変形により炎症が生じたり、水がたまったりすることで痛みが起こる疾患です。
男性よりも女性に多く見られ(男女比1:4)、高齢になるほど罹患率が高くなる特徴があります。
変形性膝関節症が女性に多い理由は、以下の4つです。

  • 男性より、もともと筋肉量が少ない
  • 男性より、骨盤が広いことに加え下肢の横揺れを支える筋力が弱い
  • 加齢とともに基礎代謝が低下して太りやすくなり、関節にかかる負荷が大きくなる
  • 閉経により、ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減少し骨が弱くなる

エストロゲンは主に卵巣から分泌されるホルモンで、女性の体の発達などの重要な役割を果たし、骨・軟骨・筋肉を健康に保つ作用があります。

変形性膝関節症は進行度によって症状が変化します。

軽度

立ち上がるときや動き始めに痛む

STEP
1

中等度

正座しにくい、階段の昇り降りで膝が痛む、膝に水がたまる

STEP
2

重度

じっとしていても痛む、膝の曲げ伸ばしが難しい、歩くときに膝が横揺れする、歩行困難

STEP
3

関節痛が起こる原因

関節痛の中でも、多くの人が悩む変形性膝関節症の原因を4つ解説します。
ただし関節痛は、じん帯や半月板の損傷といった外傷、骨折、化膿性関節炎などの後遺症として二次的に発症することもあります。

膝の側面図

1. 加齢

関節軟骨の75%は水分で、主にヒアルロン酸によって弾力が保たれています。
加齢によりヒアルロン酸が減少すると関節軟骨が摩耗し、やがて大腿骨と脛骨がぶつかるようになって激しい痛みが生じるのです。
すり減った関節軟骨や半月板の破片が、滑膜を刺激して炎症を起こすことでも痛みが生じます。

2. 太ももの筋力低下

太ももには「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」という太い4本の筋肉があります。
この筋肉には膝を動かしたり、膝関節にバランスよく体重がかかるよう調整したりする役割があり、大腿四頭筋が衰えると膝への負荷が大きくなります。
衰えた大腿四頭筋は、膝が内側に変形して軟骨をすり減らした状態をかばいきれず、膝に痛みが出やすくなるのです。

3. 肥満

膝関節にかかる負荷は、歩くときは体重の3倍、階段の昇り降りでは体重の6倍にもなります。
体重が増えれば、それだけ膝への負荷も大きくなるのです。

4. 外力

激しいスポーツをすると膝に大きな力(外力)が加わり、このような運動を続けると、膝にくり返し外力がかかって軟骨が減りやすくなります。
重症になると常に痛みを感じ、軟骨の損傷やじん帯・腱(骨と筋肉をつなぐ組織)の断裂が起こることもあります。

関節痛(変形性膝関節症)の予防と対策

関節痛、とくに変形性膝関節症は加齢とともに進行するため、今は痛みがなくても予防が大切です。
すでに痛みがある場合も、これからご紹介する対策で症状の改善が期待できます。

サポーターのイラスト

関節に負担をかけない生活

関節に負担をかけない生活を習慣化することで、関節痛の予防や痛みの軽減ができます。

  • 肥満気味の人は体重を減らす
  • 膝関節を冷やさない(寒い季節はサポーターで温める)
  • 同じ姿勢を続けない
  • 正しい歩き方をする(膝を伸ばし、かかとから着地、つま先で後ろへ蹴る)
  • クッション性の高い、足に合った靴を選ぶ
  • O脚の人は靴のインソールなどで補正する

痛みで歩きづらい場合は、杖などを使って歩行時の膝への負担を軽減しましょう。
痛みのほかに腫れや赤みなどの炎症がある場合は医療機関で診察を受けてください。

ストレッチで筋力と血流UP

運動療法は、痛みの程度や年齢に関係なく、膝の痛みを改善するのに有効です。
膝の痛みを予防するためには太もものトレーニングを行い、膝関節の衝撃から膝を守る大腿四頭筋の筋力を鍛えましょう。
効果的なのは、痛みの初期段階で行うことですが、痛みをまだ感じていない人も予防としておすすめです。

ストレッチのイラスト

関節痛を食事で予防・解決

関節痛は、冷えも大きな原因となります。
血行をよくして体を温める生姜・よもぎ・とうがらしなども、積極的に摂りましょう。

体を温める食べ物
関節の健康のために摂取したい栄養素

関節の健康のために摂取したい栄養素を多く含む食べ物をまとめたので、献立の参考にしてください。
食事で摂った余分な塩分は尿として排出されますが、ナトリウムと一緒にカルシウムも排出され、骨のもとになるカルシウムが不足します。塩分の摂り過ぎには注意が必要です。

栄養素多く含む食べ物
タンパク質卵や乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、鶏むね肉やささみ
カルシウム小魚、めざし、桜えび、牛乳、チーズ、ひじき、海藻、ナッツ類
ビタミンD魚類、キノコ類、卵黄
ビタミンK緑黄色野菜、納豆、ワカメ、海苔、緑茶、青汁
関節軟骨を丈夫にする栄養素

関節軟骨を丈夫にする成分を日常的に摂ることで、痛みの緩和や関節の変形予防を意識しましょう。
関節軟骨を丈夫にする栄養素を多く含む食べ物は、次のとおりです。

栄養素多く含む食べ物
コンドロイチンウナギ、フカヒレ、ヒラメ、鶏の皮、納豆、オクラ、山芋、里芋
グルコサミンウナギ、干しエビ、イカの軟骨、オクラ、キノコ類
オメガ3脂肪酸ウナギ、鮭、ブリ、サバ、イワシ、サンマ、マグロ

まとめ

関節痛の中でも、多くの人が罹患する「変形性膝関節症」をご紹介しました。
変形性膝関節症は中高年女性に多い症状ですが、筋肉量は20代をピークに年齢とともに減少します。
筋力低下を防ぐためには、運動習慣や関節に負担をかけない生活習慣が大切です。
すり減った膝軟骨を再生させるためには、ウナギやキノコ類を多く摂取するとよいでしょう。
毎日の入浴も血行促進に効果的です。

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関節痛予防のストレッチに「グッチューブ」をご紹介

ご紹介するのは、腰や膝の痛みを和らげるのに効果のあるストレッチです。
動画を見ながら、一緒に取り組みましょう。
関節を動かさずにいると、まわりの筋肉が衰えて動きが悪くなり痛みも起こりやすくなりますが、ストレッチで柔軟性を高めると痛みが和らぎます。
適度な運動を心がけ、膝のまわりの筋肉を鍛えましょう。

血流改善のストレッチ(臥位・座位)

寒い時期になると、血の巡りが悪くなり関節痛を引き起こす傾向があります。
関節痛は運動不足などにもつながり、体に悪影響を及ぼします。
適度なストレッチで体の血行を促進し、関節痛を予防しましょう。
ご紹介するのは、タオルやイスを使った室内でできるトレーニングです。

膝の痛みを予防する太ももトレーニング(臥位・座位)

関節痛の対処法として、痛みが軽いうちであればストレッチが効果的です。
ストレッチで、じん帯や筋肉がしなやかになり柔軟性が増すと、関節を囲む筋肉のバランスが整い、動きがスムーズになります。