高齢者のトイレでの「排泄介助」在宅介護者に向けた介助方法とポイントを解説!

高齢者のトイレでの「排泄介助」在宅介護者に向けた介助方法と注意点を解説!

在宅介護の大きな悩みに排泄介助があります。
ご家族さまの排泄介助が必要になった場合、手順や方法がわからない方も多いのではないでしょうか?

今回は、高齢者の排泄介助の方法やポイントについて紹介します。

排泄介助とは

排泄介助とは、身体的な制約や状態によって、自力で排泄(尿や便の排出)が難しい方を手助けすることです。

排泄介助には、トイレまでの移動の介助、適切な体位の提供、尿器や便器の使用の介助、清潔保持、排泄後の処理などが含まれます。
安全かつ効果的に介助するために、排泄障害の種類や排泄介助のポイントを押さえておきましょう。

高齢者の排泄障害が引き起こす心理的影響

排泄は羞恥心が伴うプライベートな行為で、排泄障害を起こすと、高齢者の自尊心を大きく傷つけることがあります。

また、排泄トラブルの不安から外出を避ける傾向が強まり、社会活動への参加意欲が低下します。 これらの心理的影響は、高齢者の生活の質を低下させるだけでなく、身体的健康状態にも影響を与えることがあるためケアが必要です。

排泄介助

高齢者の排泄障害の治療

尿失禁や過活動膀胱の場合、膀胱トレーニングや骨盤底筋トレーニングなどのエクササイズが効果的です。
これらのトレーニングは、膀胱のコントロールを改善し、尿漏れを減らすのに役立ちます。
適切な水分摂取や食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を心掛けましょう。

また、利尿作用が強いカフェインやアルコールの摂取を控えることも排尿障害の症状緩和に役立ちます。

必要に応じて、専門家の支援を受けることも有効です。
尿失禁や過活動膀胱などの排尿障害に対しては、医師が処方する薬物療法が効果的です。

高齢者の排尿障害

高齢者の排尿障害にはいくつかの種類があります。
以下は、一般的な排尿障害であり、個々の症状や原因は人によって異なります。
排尿障害の疑いがある場合は、医師に相談して適切な治療やコントロール方法を見つけることが重要です。

尿失禁

高齢者によく見られる問題で、尿が意図せずに漏れることがあります。
これは膀胱や尿道の筋肉の衰えや神経のダメージによるものが多いです。

過活動膀胱

膀胱が過剰に収縮し、頻繁に尿意を感じる状態です。
高齢者ではよく見られますが、神経や筋肉の問題によって引き起こされることがあります。

前立腺肥大症

男性に特有の問題で、前立腺が大きくなり、尿道を圧迫して排尿障害を引き起こすことがあります。

尿路感染症

高齢者は免疫機能が低下しやすいため、尿路感染症にかかりやすいです。
尿路感染症は排尿障害の一因となることがあります。


排尿障害の疑いがある場合は、医師に相談して適切な治療やコントロール方法を見つけることが重要です。

排泄介助の種類

排泄介助には種類があるため、状況に応じて使い分けることが大切です。

トイレ介助

トイレ介助の際には、トイレ周辺のスペースを確保し、動線上の安全を確認します。
トイレまでの移動は相手のペースに合わせて、疲れた場合は休憩を挟みましょう。

立ち座りのときは、ふらつきによる転倒を防ぐため、手すりをしっかりと握ってもらい安全を確保します。
ズボンの上げ下ろしやトイレットペーパーを使うなど自分でできることはやってもらうことが大切です。

排泄中は、扉の外で待ちましょう。

トイレ

ポータブルトイレや尿器を使う介助

ポータブルトイレは車椅子の方や寝たきりの方など、トイレまで移動ができない方が使用する移動可能なトイレです。
夜間の移動を避ける目的で、夜間用として設置することもあります。

ポータブルトイレには手すりが付いているので、しっかり握ってもらい安全を確保しましょう。
排泄物の処理の際に、排泄物バケツの底にトイレットペーパーを敷いておくとはね返りを予防できます。

寝た状態のまま尿器をあてる場合、男性は横向き、女性は仰向けで介助をおこないます。

ポータブルトイレ
ポータブルトイレ

おむつ

尿失禁や便失禁のある方にはおむつを使用しましょう。大人用おむつには、パンツタイプとテープタイプがあります。
おむつの中に便失禁したままの状態が続くと、皮膚トラブルが起こり、感染への抵抗力が弱まるため清潔を保つことが大切です。

特に、高齢者は皮膚が弱く感染しやすいため注意しましょう。

排泄介助のポイント

排泄介助のポイントを4つ挙げます。

排泄のタイミングをつかむ

排泄のタイミングをつかむためには、数日の排泄パターンの観察が必要です。
排尿の場合は、水分を摂る時間、何時間後ぐらいに排尿があるかタイミングを知っておくとトイレ誘導がしやすくなります。

認知症の方は尿意や便意をうまく伝えられない場合があります。
ソワソワ・モゾモゾしている、などその人なりのシグナルを把握しましょう。

POINT
1

水分摂取量を制限しない

水分摂取量を制限しないようにしましょう。
水分を控えてトイレの頻度を減らそうと考える高齢者は少なくありません。
体内の水分が不足すると、脱水症や脳梗塞などを引き起こすリスクが高くなります。

また、介護者がご家族さまである場合、夜間に排泄介助をおこなう際には、介護者の睡眠サイクルが乱れるなど健康に影響が及ぶ可能性もあります。日中の水分摂取を促し、夕方以降は控えるなど工夫するとよいでしょう。

POINT
2

プライバシーの尊重し、羞恥心に配慮する

介助中であっても、プライバシーを尊重します。
他の人の目を避けるためにドアを閉め、カーテンを引くなどの配慮が必要です。

トイレの外で排泄が終わるまで待機し、急かさないようにします。
「恥ずかしい」「情けない」といった感情から、水分補給や食事を摂ることを拒んでしまうケースもあるので、排泄介助の際には、羞恥心への配慮が大切になります。

POINT
3

自分でできることは自分で

自分でできることを自分でおこなうことは、身体的な機能や精神的な健康を維持するうえで大きな役割を果たします。
自立を促すことは、自己価値感や自己決定権を高め、自己効力感の向上につながるでしょう。

POINT
4

専門のサービスを利用する

専門サービスを利用することで、介護の負担を分担・軽減しましょう。
たとえば、当社の訪問看護サービスでは「排泄のケア」「服薬による排便コントロール、摘便や浣腸による排泄の支援」「福祉用具(ポータブルトイレなど)の利用相談」もおこなっています。

他にも、排泄関連のサービスや福祉用具はいくつかあります。

  • 訪問介護サービス
  • 通所介護サービス
  • 自動排泄処理装置のレンタル
  • 電動昇降便座のレンタル
  • トイレの手すりのレンタル
  • ポータブルトイレの購入
訪問看護

ケアマネジャーへの相談

もし自分だけでは問題を解決できないと感じたら、専門家であるケアマネジャーに相談することを検討してみてください。
ご本人さまや介護するご家族さまの排泄に関する具体的な問題を整理したうえで要望を伝えると、話がスムーズに進みます。

また、トイレの手すりレンタルやポータブルトイレの購入、手洗い器の設置に伴う改修工事は、介護保険の適用範囲です。
高齢者の状態に応じた必要な福祉用具を整えて、ご本人さまとご家族さま、両者の負担を減らしましょう。

ケアマネジャー

まとめ

排泄介助は、身体的なケアだけでなく、心理的なサポートも必要です。

高齢者の排泄障害は、心理的な影響を引き起こす可能性がありますが、適切な介助やコミュニケーションによってその影響を軽減できます。
排泄介助にはさまざまな種類があり、安全性や清潔さを確保するポイントに留意しながら個々の希望や能力に応じて適切な介助をすることが重要です。

また、介護者自身の健康も大切です。ストレスを抱えすぎないように、訪問看護サービスなども上手に活用してください。

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