高齢者の睡眠時間が短いのはなぜ?原因と睡眠の質を上げる方法

「以前よりも早く目が覚めてしまう」「夜中に何度も目が覚めるようになった」
年を重ねるにつれ、このような悩みを感じたことはありませんか。睡眠時間が短くなるのは、加齢に伴う変化のひとつです。
本記事では、高齢者の睡眠時間が短くなる原因や、眠りの質を上げる方法についてお話しします。
いつまでも健康でいるために、質のよい睡眠を目指しましょう。
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高齢者の睡眠の特徴
若年層は寝付きがよく、深い眠りの時間も長いため、朝までぐっすり眠れることが特徴です。一方、高齢者は眠りが浅く、夜中や朝早くに目が覚めるなどの特徴があります。
夜によく眠れなかったために昼寝が増え、さらに夜眠れなくなる悪循環に陥ることもあります。

若年層と高齢者との違いは、加齢とともに体内時計の働きが変化していくことです。
人体には、約24時間周期で働く「体内時計」があり、睡眠と目覚めのリズムを調整しています。体内時計の働きは、年を重ねるにつれて少しずつ変化するため、それに伴い睡眠パターンも変化していくと考えられています。
高齢者の睡眠時間が短くなる原因
加齢による体力の低下やストレス、薬なども睡眠に影響します。ここでは、睡眠時間が短くなる原因について説明します。
また、単純な睡眠時間の減少だけではなく、不眠症などの睡眠障害の場合もあるため、自覚症状があれば早めにかかりつけの医師へご相談ください。
加齢による身体機能の変化
加齢によって、メラトニンと呼ばれる睡眠ホルモンの分泌が減少します。さらに、視交叉上核(しこうさじょうかく)という、体内時計を調整する脳の機能が加齢とともに衰えるといわれているため、結果的に睡眠の質も下がると考えられます。
関節痛や筋力の低下でうまく寝返りが打てなくなることや、過活動膀胱による夜間頻尿も、加齢による睡眠の質低下の原因です。
日中の活動量の低下
体力の低下や社会的な交流の減少により外出が減り、日中の活動量が低下してしまった高齢者は、体力を消耗しないため、夜間の睡眠時間が短くなります。
特にコロナ禍以降は「感染症がこわい」という理由から、外出をためらい、活動量が低下する方がさらに増加傾向にあります。
寝床にいる時間が長い
日中の外出が減ると暇が多くなり、日中を寝床で過ごす時間が長くなる方も多いでしょう。
長時間寝床で過ごすと、動かないのでお腹も空かず体も疲れない状態になります。そのため、いざ夜に寝ようと思ってもうまく入眠できず、眠りも浅くなります。

ストレス
高齢になると、配偶者や親しい友人・知人との死別や家族関係の変化などにより、精神的ストレスを感じやすくなります。また、自身の定年退職によるやりがいの喪失、社会との接点減少による孤独感などから、強いストレスを抱く方もいます。
こうしたストレスや眠れないことへの焦りから、より眠れなくなってしまうことも考えられます。

病気や服薬の影響
以下の病気や、気管支拡張薬・抗ヒスタミン薬・ステロイド・抗うつ薬などの服用も、睡眠を妨げる原因となる可能性があります。
- 認知症
- うつ病
- 不安障害
- レストレスレッグス症候群
- 睡眠時無呼吸症候群
- 糖尿病
- 逆流性食道炎
- 関節リウマチ

高齢者の理想的な睡眠時間
アメリカの「国立睡眠財団」が公表している年代別の推奨睡眠時間によると、18〜64歳までの理想は7~9時間、65歳以上の高齢者は7〜8時間の睡眠が理想です。
また、長すぎたり短すぎる睡眠は認知症のリスクが高まるという研究結果もあるため、疲れ具合や体調をみながら理想的な睡眠時間をとるように調整しましょう。
睡眠の質を上げる方法
満足度の高い睡眠を得るためには、睡眠の質を上げる工夫も重要です。ぐっすりと眠るためにおすすめの方法を5つご紹介します。
寝室の環境を整える
- 寝室の室温:20~26度
- 寝室の湿度:50~60%
- 遮光カーテンで室内の明るさを抑える
- 体に合った寝具を選ぶ
- シーツ・毛布などの清潔を保つ
規則正しい生活
起床時間と就寝時間を一定にする、食事の時間を決めるなど、規則正しい生活を送ることが重要です。
特に、朝日を浴びることで体が目覚め、セロトニンの分泌が増え、夜にぐっすり眠れるようになります。
また、「就寝前にストレッチをする」「毎日湯船に浸かってリラックスする」なども睡眠の質を上げるのに効果的です。

昼寝を減らす
長時間の昼寝や15時以降の夕寝は夜の睡眠の妨げになるため、日中の活動量を増やし、昼寝の時間を減らしましょう。ラジオ体操・ストレッチ・散歩などの適度な運動の習慣化も有効です。
また、趣味や社会活動を楽しんだり、デイサービスなどで他者と交流すると、充実した気持ちで眠りにつくことができます。
アルコール・カフェイン・タバコを控える
寝る前のアルコールやカフェインの摂取、喫煙などは熟睡できない原因になるため、思い当たる習慣があれば、少しずつでよいので控えましょう。
【アルコール】
- 催眠作用で一時的に眠くなるが、アルコールが抜けるタイミングで覚醒する
- 利尿作用があるため、夜中に目が覚める

【カフェイン】
- 脳を覚醒させるため寝付きにくくなり、眠りも浅くなる
- 利尿作用があるため、夜中に目が覚める
【喫煙】
- タバコに含まれるニコチンが中枢神経に悪影響を与え、眠りの質を下げる
- 喫煙者は非喫煙者に比べて眠りが浅く、目が覚めやすい
寝る前にテレビやスマホを見ない
寝る前にテレビやスマホに集中すると脳が興奮状態となり、なかなか寝付けなくなります。また、眠りが浅く途中で覚醒したり、寝たのに熟睡した感じがしなかったりと弊害があります。
寝る前の1時間はテレビやスマホから離れて、リラックスして過ごしましょう。

まとめ
高齢者の睡眠時間が短くなることは、加齢に伴うものだけでなく、生活習慣の影響も少なくありません。日中に外出する、デイサービスへいくなどの習慣を意識して生活習慣を整える工夫をしましょう。
高齢者の方おひとりでは生活リズムを整えることが難しい場合もあるため、ご家族による適切な見守りとサポートが重要です。ご家族の睡眠に関する心配ごとがある場合は、かかりつけ医やケアマネジャー、デイサービススタッフなどに相談しましょう。
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