高齢者の低栄養を防ぐには?アルブミンを上げる食事をご紹介

アルブミン 食事

高齢になると食が細くなり、健康維持に必要な栄養素が不足しやすくなります。その結果、「低栄養」に陥るリスクが高まります。
低栄養は体や心にさまざまな悪影響を及ぼし、次第に虚弱を引き起こす悪循環に陥らせるため、早めの対策が重要です。

十分な栄養が摂れず低栄養になると、血液中のたんぱく質の一種であるアルブミン値が低下します。そのため、低栄養を防ぐには、アルブミンを意識することが大切です。

今回は、生活や食事の中でアルブミンを上げる方法についてご紹介します。効果的にアルブミンを上げるポイントや食事メニューもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

高齢者の健康に重要なアルブミン

アルブミンは肝臓で作られるたんぱく質のことで、血液中に最も多く含まれるたんぱく質です。高齢者のアルブミンの基準値は3.9g/dLで、3.5g/dL以下は低栄養とみなされ、適切な栄養指導が必要となります。

血中の水分保持、栄養素の運搬をおこなうアルブミンが低下すると、さまざまな悪影響を及ぼします。
自覚症状があまりないため、アルブミンの低下に自分で気付くことは難しく、血液検査や画像検査、尿検査をおこなう必要があります。

栄養を教えてくれる

アルブミン低下の最も一般的な原因は、たんぱく質やエネルギーの摂取不足です。栄養が不足しがちな高齢者は、積極的にたんぱく質を摂りアルブミンを下げないことが、健康を保つカギとなります。

アルブミンの低下が招く症状

アルブミンの低下は、以下のような症状を引き起こします。

  • むくみ(浮腫)
  • 免疫機能低下
  • 慢性的な疲労
  • 認知機能の低下

アルブミンが低下すると血液中の浸透圧が下がり、水分が血管外に漏れ出すため、手足や顔などにむくみが生じます。重症になると腹部・胸部に水が溜まるケースもあり、注意が必要です。

アルブミン低下

エネルギー供給が追い付かず疲れを感じやすくなるほか、血液中の栄養を十分に運搬できず免疫機能が弱まることで、感染症リスクが高くなるのも、低栄養の悪影響のひとつです。

また、アルブミン値が低い人は、アルブミン値が正常な人と比べて、認知機能の低下リスクが2倍高くなるといわれています。むくみやすい・疲れやすい・風邪をひきやすい・物忘れが増えたと感じる場合は、アルブミン低下の可能性があります。まずは、かかりつけの病院への相談や健康診断の受診がおすすめです。
対策の効果がみられるまでは数週間かかるため、早めの取り組みが大切です。

アルブミンを上げる生活のポイント

アルブミンを上げるためには、以下を参考に生活習慣や食事の摂り方を見直してみましょう。

運動で食欲を促す

運動をしてお腹を空かせることが、十分な食事・栄養の摂取につながります。
高齢者は運動量が減り、必然的に消費カロリーが少なくなりがちです。ウォーキングや軽いストレッチなどを日課にして代謝を上げると、自然と食欲が沸いてきます。食事を楽しむためにも、意識的に体を動かしましょう。

運動する
ポイント

適切な口腔ケアで食事を食べやすくする

いつまでも自分の歯で食事できるよう、適切な口腔ケアをおこなうことが重要です。高齢者は、加齢による口腔内の乾燥でむし歯や歯周病のリスクが高くなります。

セルフケアとして、食後の歯磨きや歯科検診での定期的な検診ををおこないましょう。また、唾液の分泌を促す舌のストレッチや唾液腺マッサージ、発声も口腔内の潤いに効果的です。

口腔ケア
ポイント

しっかりと食事を摂る

食事を抜くとすべての栄養素が不足するため、1日3食を基本に規則正しく食べましょう。朝食は栄養素の吸収が比較的良いため、アルブミンの維持・向上に効果的とされています。

ただし、食欲がないときや体調が優れないときは無理をせず、たんぱく質が豊富なゆで卵やヨーグルト、豆腐など手軽に栄養を摂れるものを活用しましょう。

しっかりと食事をとる
ポイント

アルブミンを上げるおすすめの食事レシピ

低栄養を回避し、アルブミン値を上げる高齢者におすすめのレシピをご紹介します。アルブミンを上げるためには、良質なたんぱく質の摂取が効果的です。
食事量が減少しやすい高齢者は、少量で十分な栄養を補えるよう工夫すると低栄養を防げます。

低栄養を予防するための、さまざまなポイントをまとめた記事はこちらです。
今回ご紹介した食事の他に、食事動作訓練などについてもお伝えしています。

アルブミン 食事

鶏肉と野菜の蒸し煮

材料:調味料・鶏むね肉・キャベツ・にんじん・ブロッコリー・かぶ・きのこ類など

作り方

  1. 材料をひと口大の食べやすい大きさに切りそろえる
  2. 材料を鍋に入れ、酒(白ワイン)・顆粒コンソメ・塩コショウ・オリーブオイルを回しかける
  3. 中火にかけ、沸騰したら弱火で20〜25分ほど蒸し煮にする

鶏むね肉とキャベツやブロッコリーなどの野菜を一緒に蒸し上げるお手軽なメニューです。鶏むね肉は、たんぱく質が豊富で脂質も少なく、高齢者が食べやすい食材のひとつです。
ビタミンや食物繊維の補給も併せておこなう場合には、にんじんやかぶなどの根菜類の他に、きのこ類を入れるのもおすすめです。

鮭の豆乳クリームスープ

材料:調味料・鮭・豆乳・キャベツ・しめじ・小松菜など

作り方

  1. 鮭をひと口大に切り、小麦粉をまぶす
  2. 野菜を食べやすい大きさに切る
  3. 鍋に油を入れて熱し、鮭を両面に焼き色がつくまで、3分ずつ中弱火で焼き、一度鍋から取り出す
  4. 油を拭いた鍋を再度火にかけて硬い野菜をさっと炒め、豆乳・水・白だしを加え1~2分煮込む
    ※沸騰させないように注意
  5. やわらかい野菜を加え、鮭を戻して煮込む
  6. 野菜がしんなりしたら塩コショウで味を調える

喉を通りやすいスープは食欲がないときのメニューに適しており、鮭や豆乳を用いることで、たんぱく質を補給できます。鮭は抗酸化作用が強くたんぱく質が豊富なので、低栄養の予防だけでなく、細胞の老化予防にも期待できます。

豆腐とひき肉の卵とじ丼

材料:調味料・豆腐・小松菜・鶏ひき肉・卵・しょうが(みじん切り)・ごはん

作り方

  1. 豆腐は角切り、小松菜はざく切りにする
  2. フライパンに油を入れて熱し、鶏ひき肉→しょうが→調味料の順で入れ、混ぜる
  3. 火にかけて混ぜながら加熱する
  4. 肉に火が通ったら豆腐と小松菜を入れ、さっと煮て卵でとじる
  5. ごはんをよそって上にのせる

たんぱく質を多く含む豆腐と鶏ひき肉、卵を使った食べやすい丼ぶりです。やわらかい食材が中心なので咀嚼(そしゃく)しやすく、丼ものにすることで炭水化物も効果的に摂取できます。お好みに応じてあんかけにすると、よりのど越し良く食べられます。

まとめ

免疫力・活動力の低下やむくみを引き起こすアルブミンの低下は、高齢者の健康において、重要な課題のひとつです。毎日の食事からたんぱく質やエネルギーをしっかり摂り、アルブミンを上げる工夫をしましょう。
そして、おいしく食事を摂るためには、適度な運動や口腔ケアを心掛けることも重要です。

生活習慣を見直すと、日中しっかり活動して必要な栄養を食事で補給し、補った栄養で活動するという、健康的なサイクルが期待できるようになります。普段の食事で意識的にたんぱく質の摂取を心掛け、アルブミンを上げて、いつまでも元気にいきいきと過ごしましょう。

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