吹き戻しで口元のトレーニング!高齢者向け口腔ケアの方法を身につけよう
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「吹き戻し」とは、口にくわえて勢いよく息を吹き込むと伸び、吹くのを止めると先がクルクルと戻ってくる紙製のおもちゃです。
この吹き戻しが、口腔機能の訓練に活用できることをご存じでしょうか?
今回は、高齢者の口腔機能や、吹き戻しを使ったトレーニング、口腔のケア方法についてご紹介します。
目次
口腔機能とは? 高齢者にとっての重要性
口腔機能とは、口や舌、顎などを使って、食べる・話す・表情をつくるといった働きを指します。
特に高齢者にとっては、これらの機能を維持・改善することは健康的な生活を送る上で欠かせません。
口腔機能の大切な役割
口腔機能には、以下のような大切な役割があります。
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スムーズに会話をする役割
明瞭な発音ができることによって、円滑なコミュニケーションが可能になります。
唾液を分泌し口腔内を清潔に保つ役割
唾液の分泌によって口腔内が潤い、細菌の繁殖を抑え、むし歯や誤嚥性肺炎の予防につながります。
正しい姿勢を維持する役割
噛み合わせが整うことで全身のバランスが保たれ、転倒予防にも役立ちます。
さまざまな表情をつくる役割
口周りの筋肉を使うことで表情が豊かになり、対人関係を円滑にします。
口腔機能と健康の深い関係
口腔機能が低下すると、高齢者の健康に悪影響を与えます。
【ステージ 1】食欲・免疫力の低下
食べ物が食べにくくなることから食欲が低下し、栄養が偏りがちになります。
体づくりに必要な栄養素が不足すると、筋肉が痩せたり、免疫力や代謝など体を健康に保つ機能も低下することがあります。
また、それに伴い免疫力が低下することで、肺炎などの病気にかかりやすくなり、そのまま寝たきりになることもあります。
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【ステージ 2】筋力の低下
筋力が落ちると運動機能が低下するため、転んでケガをするリスクが高くなり、最悪の場合寝たきりになることもあります。
【ステージ 3】コミュニケーションの減少
体力や筋力の低下により、引きこもることが多くなると、人とコミュニケーションをとる機会が減ります。
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【ステージ 4】認知機能の低下
人と会わなくなり社会との関わりが減ると、生きる気力や意欲が低下し、うつ傾向や認知機能の低下につながります。
口腔機能が衰えるさまざまな状態を「オーラルフレイル」ともいいます。
この「オーラルフレイル」について説明した記事がありますので併せてご確認ください。
高齢者は口腔機能の低下により、「硬い食べ物が噛みにくい」「水やお茶でむせる」「口が渇く」などの症状が現れやすくなります。
口周りの筋肉が特に衰えると、嚥下という食べ物や飲み物を飲み込む動作が苦手になり、誤って食べ物が喉頭や気管に入る「誤嚥」を起こすこともあります。
こうした健康リスクを防ぐために、日常的な口腔機能のトレーニングが重要です。
そこでおすすめなのが、「吹き戻し」を使った簡単なトレーニングです。
吹き戻しは、息を吹き込むことで口の周りの筋肉を鍛え、嚥下力の向上や誤嚥予防に役立ちます。
楽しみながら取り組めるため、高齢者にも続けやすいトレーニング方法のひとつです。
吹き戻しで楽しく口腔トレーニング!
吹き戻しを使ったトレーニングは、楽しみながらトレーニングが高齢者にとって無理なく取り組める方法のひとつで、呼吸機能の改善に効果があります。
吹き戻しトレーニングの効果
口周りの筋肉を鍛える
力強く息を吹くことで、唇や頬の筋肉が鍛えられ、食べる力や発音が向上します。
腹式呼吸の習得
吹き戻しを吹く際に意識的に腹式呼吸をおこなうと、肺活量が増し、呼吸が安定します。
誤嚥予防
唇の筋力や舌の動きが向上し、飲み込みやすくなるため、誤嚥を防ぐことができます。
吹き戻しトレーニング方法
1 吹き戻しを口にくわえ、一気に息を吹き込んで紙を伸ばす。
2 そのまま5〜10秒キープする。
3 ゆっくりと息を吐きながら吹き戻しを戻す。
1セット10〜30回を目安に、1日3セットおこないましょう。
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高齢者の口腔リハビリに吹き戻しを活用すれば、楽しく口元の筋肉を鍛えることができます。
この他にも、力強く息を吹くことで腹式呼吸ができるようになり、胃腸が刺激されて栄養を効率よく吸収できるようになります。
また、吹き戻しは紙の長さなどレベルによっていくつか種類があり、医療用のものあります。
口腔機能の改善における日々のケア
口腔機能を改善させるケアは、「機能訓練を中心とするケア」と「口腔内を清潔に保つためのケア」の2種類に分かれています。
上記でご紹介した吹き戻しトレーニングは、「機能訓練を中心とするケア」です。
それぞれのケアには、「口腔機能を維持向上する」、「口腔内を清潔に保つこと」という目的があり、どちらも高齢者にとって大切なケアです。
機能訓練を中心とするケア
口腔内のマッサージ方法
唾液腺マッサージと呼ばれる口腔内のマッサージは、唾液の分泌を促して口腔内の乾燥を防いだり、口臭予防やむし歯予防に効果があります。
口の周りの筋肉の緊張をほぐし、口を開きやすくする効果もあるので、高齢者におすすめのケアです。
以下はマッサージの方法です。
● 上の奥歯付近にある耳下腺に人差し指から小指までの4本をあてて、後ろから前へ向かって10回まわす
● あごの骨の内側にある柔らかい部分(顎下腺)に指をあて、耳の下からあごの先まで10回押す
● あごの下にある舌下腺を、両手の親指でぐーっと10回押す
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口腔内を清潔に保つためのケア
口腔内のケア
ご自身でできるケアは、毎日丁寧に歯磨きをすることと、フロスや歯間ブラシで歯と歯の間の歯垢を落とすことです。
舌専用のブラシを使って、舌の表面にある白い苔状の舌苔(ぜったい)の清掃も、ときどきおこなうようにしましょう。
また、定期的に歯科医院に通って、クリーニングや歯石除去をしてもらう、むし歯や歯周病、入れ歯の状態などを確認してもらうことも重要です。
要支援、要介護など体を起こすのが難しい方は、口腔ケア用スポンジブラシや指にガーゼを巻きつけて、口腔内の汚れを拭き取るなどの対応が大切です。
セルリアが運営する「トータルリハセンター」では口腔の疾病予防、健康維持・増進のために、口腔ケアのプログラムを取り入れています。
毎日のケアに加えて、デイサービスで専門的な口腔ケアプログラムを受けるのもおすすめです。
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まとめ
口の健康と聞くと、「むし歯対策をして高齢になるまでたくさん歯を残そう」という取り組みを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
もちろんそれも大切ですが、高齢者にとっては、口周りの筋肉を鍛えたり腹筋を鍛えたりすることで、誤嚥性肺炎を防ぐことも重要な取り組みです。
また、口の筋肉の衰えは、食欲減退やコミュニケーションの機会喪失など、人生の楽しみの損失にもつながります。
今回ご紹介したケアはご自宅でもできるので、毎日の習慣に取り入れてみましょう。
口腔機能を鍛えるトレーニングをお考えなら「DSセルリア」で
「トータルリハセンター(TRC)」では、口腔機能向上のためのプログラムに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃を提供しています。
当社では、訪問看護とリハビリ型デイサービスを提供しています。
「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。
施設見学・ご相談は随時受け付けております
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DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」をご提供しています。
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