高齢者の歯磨きガイド!口腔ケアの必要性やポイントを解説
歯磨きを嫌がるなど、高齢者への口腔ケアは難しいと感じていませんか?
口腔環境が悪くなると、むし歯や歯周病だけでなく、全身にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
今回は、高齢者の口腔ケアについてご紹介します。
目次
口腔ケアとは?
口腔ケアとは、口腔内の清掃やマッサージ、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)のトレーニングを含む幅広いケアのことを指します。
むし歯や歯周病の予防、口腔機能の健康維持といった目的でおこなわれており、全身の健康に影響を与える重要なケアのひとつです。
高齢者における口腔ケアの効果と必要性
高齢者の口腔ケアの効果と必要性は、以下のとおりです。
① むし歯や歯周病予防
高齢者は唾液の分泌が減少傾向にあり、口腔内が乾燥しやすいためむし歯や歯周病になりやすいです。
そのため、定期的な口腔ケアはこれらの病気を予防するために欠かせません。
② 口臭予防
口臭の原因は、口腔内の細菌や食べかすです。
口臭を軽減するには、歯磨きやうがいをおこなうだけでなく、歯間ブラシを使って歯と歯の間の歯垢までキレイにすることが大切です。
口腔ケアをすると、唾液の量が増えて口腔内の汚れが洗い流れやすくなり、細菌の繁殖や歯垢の形成を抑制します。
③ 咀嚼や嚥下などの口腔機能の維持・向上
口腔体操やトレーニングなどで適切にケアすることで噛む力や飲み込む力が鍛えられ、食事を楽しみながら栄養を摂ることができます。
④ 認知症予防
口腔の健康状態は、認知症の発症リスクに影響を与えると考えられています。
高齢者が口腔ケアを嫌がる理由
高齢者が口腔ケアを嫌がることはありませんか?
口腔ケアを嫌がる理由には、以下の理由が考えられます。
① 口腔内に痛みや傷がある
口腔内に痛みや傷がある場合、歯磨きなどの口腔ケアを嫌がる場合があります。
高齢者の中には、口腔内に口内炎などの炎症があることが原因で、歯磨きが苦痛になることも。
口腔トラブルがある場合は、痛みを和らげる方法について歯科医師に相談したり、治療を受けるようにしましょう。
② 口腔ケアに関する不快感や不安
口腔ケアで口腔内を触られることや歯ブラシの感触、歯磨き剤の味などの不快感、不慣れなケア方法に対する不安が原因で、口腔ケアを嫌がることがあります。
優しく説明や声掛けをし、安心感を与えることが大切です。
高齢者の口腔ケアガイド
高齢者が自分で口腔ケアをできない場合は、口腔ケアをサポートする必要があります。
口腔内は非常にデリケートな部位のため、使用する口腔ケア用品や介助方法を工夫しましょう。
口腔ケアの準備
高齢者に適切な口腔ケアをおこなうために、以下の準備をします。
必要なケア用品の用意
まずは、口腔ケア用品を準備します。
- 歯ブラシ
- 歯磨き剤
- フロス
- 歯間ブラシ
やわらかい歯ブラシなど、高齢者の口腔内のケアがしやすい形状を選びます。
また、初めて高齢者に使用する道具を選ぶ場合は、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスを受けることもオススメです。
適切な環境の確保
口腔ケアをおこなう場所の照明や環境を整えます。
明るい照明があると、高齢者の口腔内が見やすくなります。
車椅子やベッドでおこなうときは、背もたれに枕やタオルを挟み、顎を引いた姿勢を保てるようにしましょう。
また、水や唾液が誤って肺に入ると、誤嚥性肺炎を起こす可能性があるので注意しましょう。
口腔のケア方法
口腔ケアの方法を3つご紹介します。
1. 歯磨き
歯ブラシで歯と歯ぐきを、優しく磨きましょう。
歯の表面だけでなく、食べかすがたまりやすい歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目を1本1本丁寧に磨きましょう。
磨き方は歯ブラシの全面を歯に対して90度に当てて磨きます。
それぞれの歯に合わせて歯ブラシの角度を変えるのがポイントです。
1〜2本を目安に、10〜20回小刻みに歯ブラシを動かしましょう。
寝ている間は唾液の分泌が少なくなり、口腔内の自浄作用が低下し細菌が増殖します。
就寝前は特に丁寧に歯磨きをしましょう。
2. 口腔清掃
歯ブラシで歯磨きが難しい場合は、口腔ケア用品を使用して口腔内を清潔に保ちましょう。
口腔ケア用品 | 用途 |
---|---|
スポンジブラシ | 棒の先端がスポンジになっています。 食べかすやネバネバしたものを絡め取り、口腔内を清潔にします。 口を大きく開けられない方や、うがいができない方にオススメです。 |
舌ブラシ | 口臭や味覚異常などの原因となる舌の表面についた白い汚れ(舌苔)を舌ブラシでケアします。 |
歯磨きシート | シートを指に巻き付けて、食べかすなどを拭き取ります。 水を使わないため、誤嚥の危険性が高い方の口腔ケアにオススメです。 |
3. 入れ歯の清掃
入れ歯の清掃は、義歯用歯ブラシを用いて水で洗浄します。
就寝前と毎食後に水を張った洗面器の中で、入れ歯を丁寧に磨きましょう。
着色汚れは、専用の洗浄剤を使って落としたり、除菌をします。
就寝中などは、消毒剤の入った専用容器で保管しましょう。
口腔ケアのポイント
口腔ケアをおこなうポイントは、以下のとおりです。
できるだけ本人にケアしてもらう
高齢者が自分で口腔ケアをおこなえるように、周りがサポートしてあげることが大切です。
本人が持つ能力を最大限に活用することは、リハビリやモチベーションの向上につながります。
そのため、要介護者のプライドを傷つけないように配慮しながら、口腔内の最終確認をします。
ケアは素早くおこなう
口腔ケアの介助は、素早く効果的におこなうようにします。
高齢者が疲れないようにするために、短時間で的確なケアをすることが大切です。
口腔ケアの手順を確認し、スムーズに実施できるよう心掛けましょう。
誤嚥しないよう注意する
口腔ケアをするときは、誤嚥性肺炎を防ぐために、うがいの水や唾液の誤嚥に注意しましょう。
介助者は高齢者の顎をしっかり支えて傾けたり引いたりして、水や歯磨き剤を誤って飲み込んでしまうことがないようにします。
また、十分な休憩や水分補給を促すなど、誤嚥を防ぐ工夫も必要です。
口腔内の健康状態の確認
口腔ケアの介助中に口腔内をチェックして、異常や変化を見逃さないようにします。
口腔内の異常や歯周病の進行具合などを観察し、必要に応じて歯科医師に相談してください。
まとめ
高齢者の口腔ケアの重要性と、適切な口腔ケアの方法をお伝えしました。
適切な口腔ケアは、むし歯や歯周病予防などに役立つだけでなく、口腔機能の維持や向上、さらには認知症予防にもつながります。
高齢者が健康的で豊かな生活を送るために、しっかり口腔ケアをおこないましょう。
トータルリハセンターでは、飲み込みの練習や口腔ケアを取り入れたプログラムをおこない、全身の健康を守りながら、身体機能を回復させることに力を入れてますのでぜひご活用ください。
口腔機能維持・向上の運動は「DSセルリア」で
当社では、訪問看護とリハビリ型デイサービスを提供しています。
「トータルリハセンター(TRC)」では、機能訓練などに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃、口腔機能維持・向上のためのプログラムをおこない、口腔に関するリハビリにおいても力を入れています。
「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。
施設見学・ご相談は随時受け付けております
ご自宅での介護に関してお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」を提供しています。
また介護従事職にご興味のある方も、お気軽にお問い合わせください。