高齢者に多い「口の渇き」は危険?原因とリスク、予防方法をご紹介

高齢者 口の渇き

「パサパサした食べ物が食べにくい」
「むし歯が増えた」
「調整しても義歯が合わない」
このようなお悩みをお持ちの方は、口腔内の乾燥が影響している可能性があります。

口腔内の乾燥を放置していると、むし歯や歯周病の悪化、味覚異常や食べる機能の低下など体に悪影響を及ぼす可能性があります。
今回は、高齢者に多い口の渇きについて、原因やリスク、乾燥を予防する方法などをご紹介します。

口の渇きと症状のサイン

口が渇いている状態とは、唾液が不足することにより口腔内の保湿力が低下してしまい、舌や口腔粘膜が乾燥している状態のことです。
平均的な唾液の分泌量は、一日あたり約1~1.5リットルですが、高齢になると分泌量が減るため、口が渇いている状態の方が多くなります。

以下のチェックで3つ以上当てはまる場合は、ドライマウスという症状の可能性があるため、歯科医師や医師に相談してみることをおすすめします。

  • 口の中が渇いて、カラカラになる
  • 口の中がネバネバしていて話しにくい
  • 乾いた食べ物が飲み込みにくい
  • 舌がひび割れたり、口の中に痛みがある
  • 夜中に起きて水を飲むことが多い
  • 味がよくわからない
  • 口臭が気になる、指摘されたことがある
  • むし歯が増えた
  • 義歯を調整しても合わない
口の渇き 口臭

ドライマウスとは?

ドライマウスとは、唾液の分泌が低下して、口が渇いている状態のことです。

軽度のドライマウスは、口の中のネバネバ感やヒリヒリ感、むし歯や歯垢の増加、口臭の悪化などの症状があります。
重度になると、強い口臭や舌表面のひび割れ、口の痛みや乾燥によって食事が困難になる、味覚障害などの症状が現れます。常に口の中に違和感や不快感が現れるようになり、会話の困難、不眠の症状が出るなど、日常生活に悪影響をきたす重大な病気です。

口の乾燥がもたらすリスク

口の乾燥がもたらすリスクについて、詳しくご説明します。

むし歯や歯周病になりやすい

唾液が不足して口が渇くと、むし歯や歯周病になりやすくなります。
唾液には抗菌作用や殺菌作用、酸性に傾いた口腔内を中和する作用、再石灰化の促進、 食べかすを洗い流す自浄作用などがあります。

分泌量が減ると、口腔内の酸性度が高くなり、細菌が繁殖しやすくなるため、むし歯や歯周病になりやすい環境になります。

会話や発音がしにくくなる

唾液の分泌量が減ると、口の中の潤いがなくなるためスムーズに話しにくい、発音がしにくくなるなど不快症状も現れます。スムーズに話しにくいなど、コミュニケーションが困難になると、精神的、社会的な孤立につながってしまうことがあります。

会話の困難

食事がとりにくくなる

唾液は食べ物をのどの奥に送り出す働きをしているため、分泌量が減ると食べ物を飲み込みにくくなります。
特に、クラッカーなど水分が少ない物や、パサついた食感の物が苦手になりがちです。また、お茶や汁物などの水分を飲む際に、むせやすくなることもあります。

感染症にかかりやすい

口の中が乾燥していると、外から入ってくる細菌が定着しやすくなるため、免疫力や体力が低下している高齢者は、感染症にもより注意する必要があります。
冬から春にかけては、インフルエンザや風邪などの上気道感染症に感染するリスクが高くなります。

特に、高齢者は体の生理的な機能の低下、糖尿病や心臓病といった持病などの影響で感染症にかかりやすいだけでなく、重症化しやすいともいわれています。

感染症にかかる

味覚異常

ドライマウスの状態になると、舌の内側にある味蕾の働きが低下し味覚を感じにくくなります。
また、口の中が乾燥すると舌の表面に細菌が付きやすくなり、それによって味蕾の働きが悪くなることもあります。味覚を感じにくくなると、食事への意欲が下がり、体力や健康にも影響が現れる場合があります。

口が渇く原因

口の中が渇く主な原因は以下の3つが考えられます。

生活習慣

高齢者はやわらかく、食べやすい物を好む傾向があるため、顎や舌の筋肉が衰えて唾液の分泌量が減少します。また、緊張やストレスも唾液の分泌量に影響を与えるため、ストレスフルな仕事を抱えている方や悩みが多い方も口が渇きやすいです。

このほかにも、アルコールを摂取すると、アルコール成分を尿や汗と一緒に出そうとするため体内の水分バランスが崩れます。アルコールを飲み過ぎた翌日に、のどが渇くことがあるのはこのためです。

生活習慣を整える

疾患や服薬

疾患や薬の影響で口腔内の乾燥につながることがあります。

疾患口腔の乾燥との関連
糖尿病血糖値が高くなり糖を含んだ尿が大量に出るため、脱水状態になる
くも膜下出血・脳出血・脳梗塞口の周りに麻痺が残ると唾液の分泌量が減る
シェーグレン症候群免疫の異常によって、口や目、皮膚など全身が乾燥する
更年期障害女性ホルモンのバランスが乱れることにより、口の渇きを感じやすくなる

上記疾患の他にも、抗うつ剤・抗ヒスタミン薬・鎮痛剤・抗パーキンソン剤・降圧剤などは、唾液腺への神経伝達を抑制する副作用があるため、服薬の影響によっても渇きを感じやすくなることがあります。

加齢による唾液の分泌機能の低下

高齢者は、加齢によって唾液の分泌機能が低下します。
そのほか、口元の筋肉が衰えたり、加齢によって筋肉がこわばったりすることによって、開口症を引き起こしている場合も考えられます。
開口症とは常に口が開いていたり、口呼吸が習慣になっている状態で、開口症方は、口腔内が乾燥状態になりやすいため注意しましょう。

口の渇きを予防する4つの対策方法

こまめな水分補給

口の渇きを予防するのにもっとも効果的なのは、こまめに水分補給をおこなうことです。外出時にもペットボトルや水筒を持ち歩き、常に水分補給ができる状態にすることをおすすめします。


高齢者は、口腔内やのどが渇いていることを感じにくくなっていることもあります。のどが渇いたと感じていなくても、意識的に水分をとることを心掛けましょう。ご自身では気付いていない場合は、周囲が促すことも大切です。
ただし、コーヒーや緑茶、ウーロン茶などは利尿作用があり、飲み過ぎると逆効果になるためご注意ください。

こまめな水分補給
対策
1

保湿で乾燥を防ぐ

マスクを着用する、部屋を加湿するなどして乾燥を防ぐことも効果的です。
そのほか、口腔保湿剤・うがい薬・保湿性薬剤・人口唾液・保湿スプレーなどで保湿する方法もあります。

特に、口腔保湿剤は持続効果が高く、ペースト・ジェル・液状など種類が豊富なため、状況によって使い分けをしましょう。

対策
2

口のマッサージ

唾液の分泌を促す、口のマッサージを習慣にしましょう。
口腔粘膜マッサージや口の周りの筋肉を動かす体操、口唇体操などがおすすめです。

また、顎の下の舌のつけ根部分を親指で押す、耳の横を回す、耳たぶの下から顎先までを親指で押す唾液腺マッサージも唾液を増やすのに効果的です。

対策
3

口腔機能訓練を受ける

ご自身でマッサージなどのケアをおこなうことが難しい方や高齢者は、かかりつけの歯科医院や訪問歯科診療、リハビリ施設やデイサービスなどで、口腔ケアを受けるのがおすすめです。舌体操や嚥下体操などの口腔機能訓練を受けたり、口腔内を清潔に保つケアを受けることで、口腔環境を改善させることができます。

専門機関での口腔ケア

セルリアが運営するトータルリハセンターでは、口腔ケアや口腔機能訓練にも力を入れているため、歯科衛生士がケアのための正しい知識や、適切なケアをご利用者さまに提供しています。

対策
4

まとめ

「口の中が乾燥しているだけ」と油断していると、むし歯・歯周病・味覚異常・食事のしにくさなど、全身の健康に悪影響を及ぼします。特に高齢者は、加齢により唾液の分泌量が減少しやすく、ドライマウスのリスクが高まります。
今回ご紹介した対策方法を取り入れるなど、口腔の健康を保ち、全身の健康維持につなげましょう。

口腔の乾燥改善や口腔ケアは「DSセルリア」で

当社では、訪問看護とリハビリ型デイサービスを提供しています。
「トータルリハセンター(TRC)」では、機能訓練などに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃、口腔機能向上のためのプログラムなど多角的に日常生活動作(ADL)の維持・改善に取り組んでいます。

「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。

施設見学・ご相談は随時受け付けております

ご自宅での介護に関してお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」を提供しています。
また介護従事職にご興味のある方も、お気軽にお問い合わせください。