寝たきり・体力低下の高齢者にもおすすめな手浴の手順と効果

寝たきり

入浴などで毎日身体を清潔にすることは、心身のリラックスのために欠かせない習慣ですが、寝たきりの方や体力が低下した高齢者の場合、浴槽に入ることが難しい場面も少なくありません。
そのようなときに、介護をする方、される方双方にとって少ない負担で取り入れられるのが、手先を温めてやさしく洗う「手浴(しゅよく)」です。

この記事では、手浴の目的や効果、安全におこなうための手順に加え、ご家庭での実施が難しい場合に役立つ支援についてもご紹介します。

手浴とは

手浴とは、手先から手首までを温かいお湯に浸し、やさしく洗いながら温めることで清潔保持と血行促進を同時におこなえるケア方法です。
衣服を大きく脱ぐ必要がなく、浴室までの移動が難しい方や体力が低下している方でも、ベッドや椅子に座った姿勢のまま実施できます。介護をする方にとっても、準備や手順の負担が比較的少なく取り入れやすいケア方法です。

手浴は部分浴に分類されますが、手を温めることで血行が促進され、短時間でも体全体にじんわりとした温かさが広がりやすい点が特徴です。

ベッド 手浴

手浴による効果

手浴には、手を洗って温めるという基本的な動作以上に、心身へさまざまな良い効果があります。
ここでは、手浴によって得られる代表的な4つの効果を順に説明します。

温熱により落ち着きを促す効果

手を温めることで末梢の筋肉の緊張が緩和され、精神的な緊張や不安も和らぎやすくなります。
また、介護をする方が手をやさしく支えることで身体的な安心感が生まれ、心理的な落ち着きにもつながります。
就寝前に取り入れると自然な入眠を促しやすく、アロマなど好みの香りを少量加えることで、よりリラックス効果を得ることも可能です。

精神的なリラックス

清潔さの保持と皮膚トラブルの予防効果

手は日常的にさまざまなものに触れるため、汚れが付着しやすい部位です。手浴はこうした汚れを取り除くだけでなく、感染症や皮膚トラブルの予防にもつながります。
洗浄後は水分を丁寧に拭き取り、必要に応じて保湿をおこなうことで、乾燥や肌荒れを防ぎ、快適な状態を保つことができます。

手指を支えるリハビリ効果

温かいお湯の温熱作用で関節や軟部組織がほぐれ、指を動かす際の関節の負担が軽減します。
お湯の中で手を開閉したり、軽くもみほぐす運動は、血流の促進や関節可動域の維持に有効です。麻痺や拘縮(こうしゅく)がある場合でも、痛みを抑えながら無理なく動かしやすいため、リハビリの一環として取り入れやすいです。

車椅子

全身の血行促進と不調の改善効果

手を温めることで末梢血管の血行が促進され、体全体にも温かさが広がりやすくなります。血行が促進されることで、冷えやむくみの改善や痛みの軽減が期待でき、代謝の向上にもつながります。
特に、寝たきりや運動量が少ないなどの理由で血行が滞りやすい方にとって、手浴は短時間で取り入れられる日常的なケアとして有効です。

手浴の手順と準備

快適で安全な手浴をおこなうためには、必要な道具をそろえる環境づくりや、手順をあらかじめ確認しておくことが大切です。
準備に必要な道具の選び方や洗浄の流れ、終了後のケアなどの要点を理解しておくことで、無理なく継続しやすくなります。

用意するもの

特別な道具は必要なく、家庭にあるもので十分に代用できますが、清潔保持と湯温管理だけは徹底することが大切です。
代表的な道具は以下のとおりです。

  • 洗面器、または手首まで浸かる深さのある容器
  • 38〜42℃程度のお湯
  • かけ湯用のピッチャー
  • 汚水を受けるバケツ
  • タオル数枚
  • 防水シート・大判ビニール
  • 低刺激性の石鹸・洗浄剤
  • 水温計
  • クッション、または枕
  • 保湿剤やハンドクリーム(必要に応じて)
  • ブランケット(必要に応じて)
  • 爪切りや爪やすり(爪が伸びている場合)
手浴の準備

事前の準備

手浴を始める前に、要介護者に体調や医師からの指示を確認し、手浴の目的や流れをあらかじめ説明しておくと安心につながります。
排泄は先に済ませ、室温を25℃前後に保ち、肩や膝が冷えないようブランケットを掛けておくと要介護者も快適に過ごすことができます。  ベッドや椅子に座らせる場合は、肘が自然に曲がる高さに洗面器をセットし、水はねを防ぐために防水シートとタオルを敷きましょう。

手浴の手順

最初に手指の状態を観察し、傷や発赤、腫れなどのトラブルがないか確認してください。
確認ができたら、以下の手順に沿ってゆっくりと進めていきます。

やさしくお湯の温度に慣らす

洗面器にお湯を張り、手首までゆっくりと浸します。急な温度変化による驚きや不快感を防ぐため、かけ湯で湯温に慣らしてから浸すと安心です。

STEP
1

関節をほぐす

2〜3分ほど温めて血行が良くなってきたら、指を動かす動作や、軽くグーパー運動をしてもらいましょう。マッサージなどで関節をほぐすのも効果的です。

手浴 マッサージ
STEP
2

丁寧な洗浄

石鹸を染み込ませたやわらかいタオルで、手のひら・甲・指の間・爪の周囲を丁寧に洗います。
要介護者がご自身で動かせる部分は、できるだけご自身で洗ってもらうと、自立支援にもつながります。

STEP
3

念入りに流す

新しいお湯に替え、ピッチャーで差し湯をしながら、泡を十分にすすぎ落とします。泡が残ると乾燥やかゆみの原因になるため、念入りに流しましょう。

手浴 すすぎ
STEP
4

反対の手も同様におこなう  

反対の手も同じように、丁寧に洗浄、マッサージをおこない、全体で10〜15分を目安に終了します。

STEP
5

手浴後にすること

手をお湯から上げたら、やわらかいタオルで水分を指の間まで丁寧に拭き取り、肌がしっとりと温まっているうちに保湿剤を薄く伸ばすと、乾燥予防にもなります。
また、爪切りをおこなう場合は、手浴後に爪がやわらかくなった状態でおこなうと、切りやすく安全に整えることができます。

手浴の注意点・気を付けたいポイント

手指・皮膚の状態を事前に確認する

手浴の前には、手指に傷・発赤・腫れ・痛みなどの異常がないか必ず確認します。

皮膚トラブルがある状態で手浴をおこなうと悪化する可能性があるため、気になる症状がある場合は実施を控えるか、医師や看護師など医療専門職に相談しましょう。

訪問看護 事前確認

湯温と手浴時間を適切に管理する

お湯の温度が高すぎるとやけどのリスクがあり、低すぎると体が冷えてしまいます。38〜42℃程度を目安にし、手浴の時間は全体で10〜15分ほどにするよう心掛けます。
特に、熱さや冷たさを感じにくい方の場合は、介護をする方がこまめに湯温を確認し、安全を確保することが大切です。

安全な姿勢と環境を整える

要介護者が椅子やベッドに座った状態でおこなう場合は、姿勢が安定しているか、腕が無理なく洗面器に届くかを確認します。足元の滑りや水はねにも注意し、タオルや防水シートを敷いて転倒・事故を予防しましょう。

体調の変化に注意し、異常があれば中止する

手浴の最中は、要介護者の表情や反応をこまめに観察し、体調の変化がないか確認することが大切です。めまい・顔色の変化・息苦しさ・痛み・気分不良などが見られた場合は、無理をせず、すぐに手浴を中止してください。

また、温熱による循環への負担で体調が変化することもあるため、特に心疾患をお持ちの方や血圧に不安のある方、脱水が疑われる方などは慎重な対応が必要です。

体調不良 高齢者

DSセルリアにおける訪問看護での手浴

DSセルリアの訪問看護では、看護師や作業療法士がご利用者さま一人ひとりの状態を丁寧に評価し、手浴・足浴などの清潔ケアを組み合わせて提供しています。

ご家庭の道具でおこなえる手浴・足浴

手浴や足浴は、洗面器やたらいなどご家庭にある身近な道具で無理なく実施できます。特別な機材をそろえる必要はなく、訪問時にはご家庭の環境や使いやすい道具を一緒に確認しながら、負担の少ない方法をご提案しています。

専用の足浴バケツをご希望の場合などは、ご家族さまに購入をお願いしていますが、基本的にはご家庭にある道具で十分に対応できますので、どうぞご安心ください。

ケアマネジャー

まとめ

手浴をおこなう際は、正しい湯温の調整と丁寧な洗浄を心掛けることで、短時間でもリラックス効果や清潔保持、血行促進などさまざまな効果が期待できます。また、ご家族さまが協力しておこなうことで、コミュニケーションの機会が自然と増え、要介護者の精神的な安定にもつながります。

DSセルリアの訪問看護では、ご利用者さまの体調やご家族さまに合わせ、看護師や作業療法士が安全かつ負担の少ない方法で手浴をサポートしています。
「自宅で無理なく清潔ケアを続けたい」「入浴が難しい日でも気持ちよく過ごしてほしい」といった思いに寄り添いながら、安心できるケアをご提供します。

ご自宅での清潔ケアに不安がある方や、手浴を取り入れたい方は、どうぞお気軽にDSセルリアの訪問看護へご相談ください。

寝たきりの方の清潔保持や高齢者の体力低下予防の相談は「DSセルリア」へ

当社では、リハビリ型デイサービスと訪問看護を提供しています。
「トータルリハセンター(TRC)」では、マシンを使った機能訓練などに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃、口腔機能向上のためのプログラムなど多角的に日常生活動作(ADL)の維持・改善に取り組んでいます。

「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。

施設見学・ご相談は随時受け付けております

ご自宅での介護に関してお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」を提供しています。
また介護従事職にご興味のある方も、お気軽にお問い合わせください。