高齢者の手の震えはなぜ起こる?原因や対処法について

高齢者の手の震え

高齢になると、体にはさまざまな変化が現れますが、手の震えもそのひとつです。手の震えは、食事や着替え、服薬など日常生活に支障をきたすことがあります。
手の震えの原因は加齢だけでなく、病気や薬が関係している場合もあり、原因を正しく理解することが大切です。

この記事では、高齢者の手の震えの種類や特徴、受診の目安、日常生活での対応について解説します。

手の震えとは

手の震えは、医学的には「振戦(しんせん)」と呼ばれます。
自分の意思とは無関係に手などが小刻みに震える状態で、止めようとしてもコントロールしにくいのが特徴です。加齢に伴い神経機能が変化することにより震えが目立ちやすくなることがある一方で、病気や服用中の薬の副作用、脳血管障害などさまざまな要因が関係することもあります。
「年のせいだから仕方がない」と考えるのではなく、震えが続いたり生活に支障をきたす場合は、医療機関に相談することが大切です。

高齢者 手の震え

高齢者の手の震えの種類と特徴

手の震えは原因だけでなく、どのような場面で現れるかによっても分類されます。

手の震えの現れ方による分類

安静時振戦

手を膝の上に置いているときなど、何も動かしていない状態で現れる震えです。力を入れていないときに目立ち、反対に手を動かすと軽くなることが特徴です。
パーキンソン病など、特定の神経疾患でみられることがあり、高齢者では注意したいタイプです。

動作時振戦

手を動かしたときに現れる震えの総称です。物を持つ、腕を伸ばす、文字を書くといった動作に伴って生じます。
本態性振戦のほか、甲状腺機能亢進症や小脳の病気が隠れている場合があります。

文字を書く

どのようなときに震えが現れるかを観察することは、原因を考える手がかりになります。

高齢者に多い手の震えの原因

震えの現れ方に加え、原因を考えることも必要です。

生理的振戦

生理的振戦は、健康な人でもみられるごく軽い震えです。

通常は日常生活に支障が出ない程度ですが、緊張や不安、疲労などで起こり、これらが重なると強く現れることがあります。また、コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインによって、一時的に強くなることもあります。多くは一過性で、原因となる要素が解消されると軽減します。

カフェイン
原因

本態性振戦

本態性振戦は、高齢者に多くみられる代表的な震えのひとつです。

主に動かしたときに目立ち、日常生活に悪影響を与えることがあります。家族に同じような症状がみられることもあり、遺伝的要因が関与すると考えられています。

原因

パーキンソン病

パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質の減少によって起こる進行性の疾患です。

特徴的なのは安静時振戦で、何もしていないときに手が震え、動かすと軽くなる傾向があります。また、震えに加えて、筋肉が固くなる(筋固縮)、歩幅が小さくなるといった症状を伴うこともあります。

原因

そのほかの原因

一部の向精神薬や気管支拡張薬など、薬の副作用によって震えが生じることがあります。
また、甲状腺機能亢進症や脳梗塞などの脳血管障害の後遺症が原因となる場合もあります。

このように、高齢者の手の震えにはさまざまな原因が考えられます。
震えがどのようなときに現れるか、歩きにくさや日常生活への支障がないかを観察することは、原因を考える手がかりになります。

原因

本態性振戦とは

本態性振戦は、明確な原因は特定されていませんが、脳の運動調整に関わる神経の働きが影響しているとも考えられています。
箸を使う、文字を書くなどの動作をする場面で震えが目立ちます。こうした震えは、食事や服薬など日常生活の細かな動作にも悪影響を与え、不便さや不安につながるため、よく観察することが重要です。

本態性振戦は多くの場合、両手にほとんど差がなく現れ、ゆっくりと進行し、加齢とともに震えが強くなる場合もあります。また、家族に同じような症状がみられることもあり、遺伝的要因が関係していると考えられています。

震えながら食事

震えは、次のような場面で強くなることがあります。

  • 緊張しているとき
  • 疲労がたまっているとき
  • 強いストレスを感じているとき
  • カフェインを摂取した後

精神的・肉体的な負担が重なると症状が目立ちやすくなるため、疲労やストレスをためにくい生活を心掛けることも大切です。

本態性振戦とパーキンソン病の違い

本態性振戦はパーキンソン病と混同されやすいですが、それぞれに特徴があります。

本態性振戦パーキンソン病
震えるタイミング主に動作時主に安静時
左右差両側に出ることが多い片側から始まることが多い
そのほかの症状震えが中心動作が遅い、筋肉が固い、歩幅が小さいなど
進行の特徴ゆっくり進行し、命に直接関わることは少ない徐々に進行し、日常生活動作に悪影響が広がる

震えの現れ方や、ほかにどのような症状があるかを観察することが、両者を見分ける手がかりになります。気になる変化がある場合には、早めに医療機関に相談することが大切です。

手の震えがあるときの受診の目安と対処

手の震えがみられた場合は、「様子を見てよい状態か」「早めに受診すべき状態か」を見極めることが大切です。気になる変化があれば放置せず、医療機関へ相談しましょう。

受診の目安

次のような症状がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

  • 急に震えが強くなった
  • 片側の手だけが強く震える
  • 歩きにくくなった
  • ろれつが回らない

特に「突然始まった震え」や、震え以外の症状を伴う場合は注意が必要です。
ご家族さまだけで判断するのは難しいため、介護・看護の専門職へ相談することで、日常生活での困りごとの整理や受診時に伝えるべき変化の把握につながることがあります。

急に歩けなくなる

医療的治療

本態性振戦

本態性振戦は、症状に応じて薬物療法がおこなわれます。これにより、日常生活に支障が出ている場合には、治療によって震えが軽減する可能性があります。

パーキンソン病

パーキンソン病が原因である場合には、専門的な治療が必要です。神経内科などでの継続的な診察と薬物治療により、症状の進行をゆるやかにし、生活の質を保つことを目指します。

日常生活での工夫

手の震えがあっても、環境や道具を工夫することで負担を軽減できる場合があります。
食事の場面では、重みのある食器の使用に加え、滑りにくいコップやストロー付きのカップの使用など、安定しやすい状況の工夫をしましょう。

看護・介護での対応

手の震えが続くと、食事や着替え、服薬など日常生活で負担を感じやすくなります。
介護・看護の現場では、震えだけでなく、食事・着替え・服薬・移動・トイレなどの日常生活動作にどのような影響が出ているのかを確認します。その上で、ご本人さまができることをできるだけ維持しながら、生活を続けられるよう支援します。

また支援をおこなう際は、次のような気持ちへの配慮も欠かせません。

  • 動作を急がせない
  • 自尊心を傷付けない声掛け
  • できることは、できるだけ本人に任せる
  • 必要に応じた福祉用具の利用

周囲がすべてを代わりにおこなうと、残っている力まで低下する恐れがあります。安全面に配慮しながらも、主体性を尊重した支援をおこなうことが大切です。

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まとめ

高齢者の手の震えには、加齢に伴う変化だけでなく、生理的な変化から病気によるものまで、さまざまな原因があります。見た目だけでは判断が難しいため、「年齢のせい」と決めつけずに考えることが大切です。
気になる変化や、いつもと違う様子がある場合は、医療機関に相談しましょう。

手の震えがある場合は、ご家族さまや介護スタッフなど周囲の方々が、状況を正しく理解し、見守ることが安心につながります。
介護・看護サービスなどを活用しながら、ご本人さまの不安やご家族さまの負担を軽減し、安心して日常生活を送れるようにすることが大切です。

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