高齢者の内出血はなぜ起こる?原因や対策を解説

内出血は、高齢者に起こりやすい健康トラブルのひとつで、血管や血管周辺の細胞の異変が原因と考えられます。
頻繁に内出血が起こると、「何か悪い病気になった?」「病院にいくべき?」など、不安に思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、内出血が起きやすい人の特徴や内出血の原因について解説します。
内出血を未然に防ぎ、毎日を安心して過ごすために、ぜひ参考にしてください。
目次
内出血が起こる仕組み
内出血とは、外部から衝撃を受けたときに皮膚の内側で血管が破れ、出血が起きてしまう状態です。
また、内出血が皮膚に現れた状態を「あざ(皮下出血)」と呼びます。
外部から衝撃を受け、表皮の損傷が少ない場合、血液が体の外に流れ出ずに体内に留まるため、内出血となります。
主な原因は、打撲・骨折・捻挫などの外傷、採血・注射針などです。
内出血は初めに痛みや腫れを伴い、時間の経過とともに血液が体内に吸収される過程で、紫色や青色のあざから黄色や緑色のあざへと色が変化していきます。
特に、加齢により血管が脆くなる高齢者は、軽い衝撃でも内出血が起こりやすくなります。

内出血が生じやすい人とは
高齢者に多く見られる「老人性紫斑(ろうじんせいしはん)」は、軽い接触でも内出血が起こりやすい状態のことです。
手足や顔など、あらゆる場所に紫色や青色のあざが現れることが特徴で、繰り返し発生することもありますが、自然に症状が治まるため、基本的に治療の必要はないとされています。
ただし、外部からの衝撃がないにもかかわらず、頻繁に内出血が起こる場合は、以下のような病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。

- 肝機能障害
- 血友病
- アレルギー性紫斑病
- 白血病
また、血液をサラサラにする薬やステロイド剤を服用している人は、血液が固まりにくくなるため、内出血が起こりやすくなります。外部からの衝撃の覚えがないにも関わらず、あざができているなど、少しでも不安を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。

内出血が起こる原因
内出血が起こる原因には、血小板の量の問題や血管が脆くなっていることが挙げられます。
血小板の異常
血小板とは、けがをしたときに血液を固める働きをする細胞です。
血小板の数が少なすぎたり多すぎたり、機能に問題があったりすると、血管を塞ぐ力が足りず、内出血が起こりやすくなります。
異常が起こる原因は、一般的に脾臓や肝臓、血液の病気が考えられます。
主に肝硬変・慢性骨髄性白血病・貧血・関節リウマチなどが挙げられますが、貧血の場合も同様に血小板の異常が起こることがあります。

血液凝固因子の異常
血液凝固因子とは、血小板が出血部分を塞いだ後にその部分を覆って止血を助けるたんぱく質です。
血液をサラサラにする薬の服用や特定の病気によって、血液凝固因子が正常に機能しなくなると、止血できずに内出血が起こりやすくなります。
血液凝固因子の異常の原因には、遺伝などの先天的なものの他に薬物、感染症、ビタミンKの欠乏症などの栄養不足が挙げられます。
また肝臓の病気は、血小板と血液凝固因子の両方に異常をきたし、内出血のリスクがより高まるため注意が必要です。
血管壁の老化
血管壁とは、血管の内側を構成する組織で、血液の流れを保ち、血管の強さや弾力を維持する重要な部分です。
この血管壁が脆くなると、少しの衝撃で破れてしまい、内出血が起こりやすくなります。
特に高齢者になると、血管を保護するコラーゲンや皮下脂肪が減ることで、血管壁や周辺の皮下組織が弱くなります。その結果、わずかな刺激で内出血が起こります。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、食生活の乱れ・喫煙・過度の飲酒・運動不足なども血管壁への負担がかかります。これにより、内出血を引き起こしやすくするため、注意が必要です。

内出血への対策
予防法や対策を知っておくことで、内出血のリスクを避けられ、適切な処置もできるようになります。
日常生活での内出血予防
内出血の予防には、以下の3つを心掛けましょう。
- 栄養バランスのよい食事をとる
- 外部からの衝撃を避ける
- 日常的に保湿する
それぞれについてご紹介します。
栄養バランスのよい食事をとる
ビタミンK(納豆・緑の野菜 など)・ビタミンC(野菜・果物 など)・たんぱく質(肉・魚・大豆 など)を意識し、栄養バランスのよい食事をとると、血小板と血液凝固因子の不足や血管壁の老化を防げます。
特に、ビタミンCはコラーゲンの生成を促す作用から血管壁の補強に役立ち、内出血の予防効果を高めます。
血管壁の老化防止には、喫煙や過度の飲酒を控えること、適度な運動をすることで血管をしなやかに保つことも効果的です。

外部からの衝撃を避ける
外部からの物理的な衝撃を避けるため、長袖・長ズボンや手袋などで皮膚を覆う対策をすることも重要です。
クッション性のある衣類やサポーターの着用、家具の角にクッションを付けるなど、接触の衝撃を和らげる工夫をしましょう。

日常的に保湿する
クリームなどで日常的に保湿を心掛けるなど、薄くなった皮膚の弾力を外部から補うことも、内出血の予防として効果的です。
肌を保湿することで、血管の保護や肌の潤い向上が期待できるため、積極的におこなうことをおすすめします。

内出血の悪化を防ぐための対策
外部からの衝撃を受けた場合、患部を心臓よりも高い位置に上げ、タオルで包んだ氷嚢や保冷剤ですぐに患部を冷やし、安静にすることが大切です。
冷却後は痛みやしびれが出ないよう注意しながら、包帯やガーゼで患部を適度に圧迫するようにしましょう。
内出血や炎症が落ちつき、患部のあざが黄色や緑色になったら、入浴や温かい湿布などで患部を温め、血行をよくすると、より早い回復が見込めます。
内出血は軽度であれば数日〜1週間程度、老人性紫斑は2〜3週間で自然に治りますが、経過が悪い場合や痛みがある場合には、放置せずに医療機関を受診しましょう。
まとめ
内出血は高齢になると起こりやすいトラブルのひとつですが、原因を知り、生活の中で予防を意識することでリスクを大幅に減らせます。
転倒やけがを予防する工夫をしたり、保湿ケアや生活習慣の見直しを実施するなど、日々の工夫が内出血の予防につながります。
▼転倒予防などについては以下の記事で紹介しています。
多くの場合は過度に心配する必要はありませんが、まれに病気の予兆として現れる場合もあります。
長期間あざが消えなかったり、覚えのない内出血が頻繁に起こったりと、不安を感じる際は早めに医療機関へ相談するようにしましょう。
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