10月20日は世界骨粗鬆症デー
世界骨粗鬆症デー(WOD)は、骨粗鬆症と骨代謝障害の啓発を目的として制定されました。「世界中から骨粗鬆症による骨折をなくす」ことを目標に世界規模でキャンペーンが展開されています。
また、世界骨粗鬆症デーのイメージカラー「ブルー」で建物をライトアップする、「ブルーライトアップ」なども行なわれています。
今回は「骨粗鬆症」という病気について、お話ししたいと思います。
目次
骨粗鬆症ってどんな病気?
骨量(骨密度)が減る、骨の質が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことです。
日常の何気ない動作で骨折が起きやすくなり、高齢者では骨折を起こすことで要介護になったり、寝たきりにつながることもあるため注意が必要になります。
骨粗鬆症の原因は?
骨粗鬆症は女性に多く見られる病気です。60歳代女性の5人に1人は骨粗鬆症というデータも報告されており、主な原因には次のような理由が挙げられます。
- 加齢
- 生活習慣
- 閉経後のホルモンバランスの変化
- 過度なダイエット
- 薬の影響
- 先天性疾患
骨粗鬆症は大きく分けて2つのタイプがあります
- 原発性骨粗鬆症:加齢や生活習慣、閉経のホルモンバランス等が原因
- 続発性骨粗鬆症:骨をもろくする原因の病気や薬によって引き起こされる
骨粗鬆症の症状は?
骨粗鬆症は骨がもろくなる病気ですが、ほとんどのケースで初期症状がなく、気づきにくいという特徴があります。
軽度の骨粗鬆症
- 立ち上がるときなどに背中や腰が痛む
- 重いものを持つと背中や腰が痛む
- 背中や腰が曲がってくる
- 身長が縮んでいる
重度の骨粗鬆症
- 背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまう
- 転んだだけで骨折する
- 背中や腰の曲がりがひどくなる
- 身長の縮みがかなり目立つ
(参考)公益財団法人 骨粗鬆症財団より
骨粗鬆症による骨折が起こりやすい部位は?
骨粗鬆症によって骨折を生じやすい部位は以下の通りです。
- 腕の付け根(上腕骨近位部 じょうわんこつきんいぶ)
- 脚の付け根(大腿骨近位部 だいたいこつきんいぶ)
- 背中(脊椎椎体 せきついついたい)
- 手首(橈骨遠位部端 とうこつえんいぶたん)
とくに大腿骨を骨折すると入院や安静を強いられ、歩行が困難になったり、運動機能や内臓機能が低下し寝たきりになってしまう可能性が高くなります。この骨折の原因は転倒によることが多いため、転倒を防ぐことも大切です。
腰や背骨が曲がってしまう要因は、体の重みによって背骨が押しつぶされる「圧迫骨折」です。骨折と気づかずに放置してしまうことが多い骨折なので注意が必要になります。
腕の付け根や手首は、転んだときに手をついたことで起こりやすい骨折です。
このような骨折は、1か所の骨折から周囲の骨に負担をかけてしまい、連鎖的に骨折を起こしやすくなります。
骨粗鬆症の予防方法
骨粗鬆症による骨折は「日常の活動性(ADL)」や「生活の質(QOL)」を低下させ、要介護状態へとつながる原因となります。
そのため骨粗鬆症の予防は「骨折予防」と「転倒予防」、「栄養」と「運動」に取り組みましょう。
骨折予防
骨粗鬆症になると骨の質が低下し、ささいな日常の動作で骨折を起こしやすくなります。骨折を予防するためには、若年層ではより高い骨量を、中高年層では若年時の骨密度を維持することが大切です。ご自身の骨量を知り、生活習慣の見直しや必要であれば適切な治療を受けるようにしましょう。
転倒予防
大腿骨骨折の8割以上は転倒が原因で、大半が自宅で起きています。転倒の要因を取り除き、整理整頓や住まいの環境改善などに努めましょう。
また、筋力や視力の低下といった内的な要因も転倒の原因になります。筋力を強くし、バランス能力を高めるため、スクワットなどの簡単な運動を続けることも効果があるとされています。
栄養
毎日、バランスよく食品を摂ることに加え、不足しがちなカルシウムやカルシウムの吸収・再吸収を助ける働きのビタミンDを意識して摂る必要があります。
ビタミンDは皮膚に紫外線を当てることで、体内で生成することができます。天気がよい日には15~30分程度、直射日光を浴びるよう心掛けましょう。
骨に必要な栄養素
カルシウム | 骨の主成分、骨の形成を促進する(牛乳・豆腐・ひじき・小松菜など) |
ビタミンD | 小腸の中でカルシウムの吸収を促す(鮭・しいたけ・卵など) |
ビタミンK | 骨の質を高めるコラーゲンを増加させる(納豆・キャベツ・小松菜など) |
運動
骨粗鬆症を予防するためには、骨に刺激を与える運動が推奨されます。骨に刺激を与える運動には、次のようなものがあります。
- 有酸素運動(歩く、ジョギング、水泳など)
- 筋力トレーニング(ウエイトトレーニング、ゴムチューブなど)
- バランス運動(ヨガ、ピラティスなど)
- 階段の上り下り
- ジャンプ
- バレーボール
- 重量挙げ
骨は負荷がかかるほど細胞が活性化し、より強くなろうとする性質があるため、骨に適度な負荷をかけて、骨密度の低下を予防することができます。
でも、無理な運動をする必要はありません。ウォーキングや水泳などを継続して行うことで効果が期待でき、軽い運動や家事など、活動的な習慣をつけることが大切です。
喫煙の影響
骨粗鬆症と喫煙の関係は、研究によって明確に示されていて、喫煙は骨粗鬆症や骨折のリスクを高めます。とくに女性では更年期後の骨粗鬆症のリスクを高めることが知られています。喫煙は骨にも影響がでてしまうということを覚えておきましょう。
- 胃腸の働きを抑え、食欲をなくし、カルシウムの吸収を妨げる
- 女性では、骨から血液中へカルシウムの流出を防ぐ「女性ホルモンの分泌」を妨げる
- タバコに含まれるニコチンは全身の血流を悪くする
骨粗鬆症の検査と治療について
検査
骨粗鬆症の検査には、画像検査による骨密度測定と血液や尿による検体検査があります。
骨粗鬆症の診断は医療機関において検査を行い、骨折の有無や骨量減少の数値などを検討し、治療について医師が決定します。
骨粗鬆症の検査方法
DEXA(デキサ)法 | 骨密度測定の標準的な方法で、全身の骨ミネラルバランスを調べることができる(DXA法と記述することもある) |
MD法 | アルミ製の階段状チャートを両手とともにレントゲン撮影し、人差し指下の甲の骨の濃度を測定する |
超音波測定法(QUS) | 足のかかとの骨に超音波を当てて測定する |
骨粗鬆症検診
骨粗鬆症検診は自治体により異なりますが、40~70歳の女性に対して5歳刻みで実施されています。自治体以外にも健康保険組合などが行う「健康診断」に骨粗鬆症検診が含まれていることもあります。
骨粗鬆症は自覚症状がないことが多いため、積極的に骨粗鬆症検診を受診することが予防や早期発見につながります。
検査結果は?
骨密度検査では、YAM値という値を確認します。YAM値とは、健康で若く1番骨密度が多い時と比べて、現在の骨密度が何%あるかを比較した数値になります。
基本的な治療
骨粗鬆症の治療法の目的は、骨強度を高めて骨折を防ぎ、QOL(生活の質)を保つことにあります。治療法の中心は主に薬物治療で、食事療法と運動を並行して行われます。
また、他の疾患等が原因で起こる「続発性骨粗鬆症」については、原因疾患を治療したり、原因薬物の中止や減量を行います。これらの対応が難しいケースでは、積極的に骨粗鬆症に対する治療を行います。
骨粗鬆症治療に使用される薬
- 骨吸収抑制:骨を壊す働きを押さえる薬
- 骨形成促進:骨を作る働きを高める薬
- 骨代謝調整:骨の作り替えのバランスを整える薬
骨の健康をセルフチェックしよう!
公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページでは「骨の健康度チェック」や「カルシウムチェック」など、さまざまなセルフチェックが掲載されています。
ぜひ、参考にしてみてください。
まとめ
骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行します。腰や背中に痛みや曲がりがある、若い頃に比べて身長が2センチ以上低くなったという場合は、骨粗鬆症を発症している可能性があります。医療機関を受診し、検査を受けることをオススメします。
とくに閉経後の女性は自覚症状がなくても、「骨粗鬆症検診」を受けるようにしましょう。
早期発見で、骨の健康を改善することができます。
適度な運動とバランスのよい食生活に加え、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを摂って天気のよい日には日光浴をする、といったことを意識することで骨粗鬆症を予防していきましょう。
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