意外に多い高齢者のめまい!知っておきたい原因と対処法
めまいには複数の種類があり、症状や原因は人によってさまざまです。
日常生活に支障をきたす症状のめまいもあるため、原因と正しい対処法を知っておくことが重要です。
今回は、めまいの原因や対処法、高齢者に多いめまいの原因などについて解説します。
目次
めまいの種類
めまいには複数の種類があり、症状は「ぐるぐる」「ふわふわ」「くらくら」などさまざまです。
種類ごとに症状の特徴をご紹介します。
回転性めまい
周囲の景色がぐるぐると回っているように見えるめまいです。めまいのほかに吐き気や耳鳴り、耳が詰まったように感じるなどの症状を伴うこともあります。
突然起こることが多く、起き上がれないほどの症状を感じる方もいます。
浮動性めまい
「足元がふわふわする」「体が宙に浮いたような感じ」「雲の上を歩いているような感覚」といった浮遊感がある症状が特徴です。
動揺性めまい
浮動性めまいと似ており、「くらくらする」という症状が多いめまいです。体がぐらぐらするような感覚のため、歩くと不安定に感じることもあります。
立ちくらみ
立ち上がった瞬間に貧血のようなくらっとした感覚や目の前が暗くなる感じがするめまいです。
目の前が暗くなる感覚のことを、「眼前暗黒感」といいます。
お風呂から上がったときや、男性が立位で排尿しているときに起こることがあります。低血圧の方や子どもにもよくみられるタイプのめまいです。
めまいの原因
めまいの種類がさまざまあるように、めまいを引き起こす原因もそれぞれ異なります。
原因によって対処法が異なるため、まずは原因を把握することが重要です。
病気
めまいのうち、病気によるものは特に注意が必要です。めまいの症状が現れやすい病気には、以下があります。
めまいの種類 | 症状が現れやすい病気 |
---|---|
回転性めまい | ・メニエール病 ・突発性難聴 ・前庭神経炎 ・中耳炎 ・椎骨脳底動脈循環不全症 ・脳出血 ・脳梗塞 |
動揺性めまい | ・聴神経腫瘍 ・良性発作性頭位めまい症 |
めまいのほかに以下の神経症状がある場合は、脳出血や脳梗塞などの可能性があるため、救急車を呼ぶ必要がある場合があります。
- 激しい頭痛
- ろれつが回らない
- 物が二重に見える
- 手足や半身のしびれ
- 口周りのしびれ
ストレス
耳鳴りや難聴、回転性のめまい発作を繰り返すメニエール病は、ストレスが主な原因といわれています。
メニエール病は、性別に関わらず肉体的・精神的にも疲れやストレスを感じやすい、勤労世代に発症しやすいのが特徴です。65歳以降は発症する方が少なくなっていきます。
更年期
女性の場合、更年期の症状のひとつにめまいがあります。
更年期に現れるめまいの症状は、「ふわふわする感じ」「足元が浮ついたような感覚」と訴える方が多いです。
加齢
高齢者に多いのが、加齢の複合症状によるめまいです。
特に70歳を超えている方は高血圧や糖尿病、心臓病、起立性調節障害などの治療を受けている方が多く、合併症によってめまいを発症している確率が高いです。
下記のような複合症状でめまいを発症しているケースがあるため、高齢者の場合はめまいの原因を特定するのが難しいといわれています。
- 高次脳機能の低下
- 体性感覚の低下
- 自律神経機能の低下
- 筋力の低下
- 薬物代謝能力の低下
- 視力・聴力・平衡機能の低下
- 意欲の低下
- 関節の変形、腰が曲がるなど姿勢の変化
睡眠不足
睡眠不足や不眠の症状のひとつに、内耳性のめまいが含まれます。
睡眠不足や疲労の蓄積により血のめぐりが悪くなると、耳の一番奥にある内耳に悪影響を及ぼし、めまいが起こりやすくなります。
薬の副作用
めまいを起こす原因として、以下のような薬の副作用があげられます。
- 降圧剤
- 抗てんかん薬
- 抗不安薬
- 抗うつ薬
- 抗パーキンソン病薬
- 睡眠薬
市販の風邪薬などに含まれている成分でめまいを起こすケースもあるため、薬の影響でめまいを起こしたことがある方は、服用前に含有成分を確認するなど対策をしましょう。
高齢者に多いめまいの原因と対処法
高齢者に多いめまいの原因は、以下が考えられます。
- 良性発作性頭位めまい症
- 起立性調節障害
- 脳卒中
- 脱水
- 加齢による複合症状
良性発作性頭位めまい症は、耳の奥にある耳石がはがれ落ちることが原因で発症します。耳石は高齢になるとはがれやすくなるため、高齢者ほど良性発作性頭位めまい症になりやすいといわれています。
頭を動かさずに長時間同じ姿勢でいるときになりやすいため、適度に体勢を変えるとよいです。
また、高齢者は複数の薬を処方していることがあります。服用している薬によりめまいが発症することもありますが、自己判断で服用をやめると命に関わる危険性があります。
症状に心当たりがありましたら、かかりつけの病院に相談しましょう。
ふらつきによる転倒に注意
高齢者は加齢による複合症状によるめまいも多く、起立性調節障害は血圧の調整機能が低下している方が急に立ち上がることで起こります。平衡機能の低下によって姿勢や歩行が不安定になり、何もない場所でもふらつきます。
高齢者が寝たきりになる原因のひとつが「転倒・骨折」のため、座っているときや寝ているときに適度に体勢を変える、座った状態から急に立ち上がらないなど、普段から気を付けることが重要です。
高齢者のめまいを予防する方法
高齢者のめまいを予防するためには、以下の方法があります。
- 適度な運動を習慣にする
- ストレスをためない
- 規則正しい生活をする
- 栄養のある食事をとる
- 水分補給をする
筋力や体力の低下もめまいを引き起こす原因となるため、適度な運動をすることは予防方法として有効です。なかでも日常的にウォーキングを続けることは、めまいの予防だけでなくフレイル(健康な状態と要介護状態の中間の段階)の進行防止にもつながります。
寝不足や昼夜逆転の生活は自律神経が不安定になるため、早寝早起きを心掛けるといいでしょう。
また、栄養のある食事をとることも、高齢者のめまい予防に効果的であるといわれています。めまい予防にはビタミンB群やビタミンC・ビタミンE・鉄・マグネシウムなど、自律神経を整えたり血行をよくする働きがある栄養素を摂取することが大切です。
まとめ
めまいといっても複数の種類があり、発症する原因もさまざまです。
高齢者のめまいは、複数の病気や要因が複雑に影響しあっていることが多く、明確な原因を突き止めるのが難しいとされています。しかし、日々の運動やトレーニング、食事などで予防できるタイプのめまいもあります。「高齢だから仕方ない」と思わず、できることから始めることが重要です。
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