味覚の秋におすすめな旬のご飯|高齢者の食事で気を付けるべきことと必要な栄養素とは?

秋のご飯

味覚の秋・食欲の秋という言葉のとおり、秋はおいしい食べ物が多い季節です。
旬の食材を使った料理は、おいしいだけではなく栄養が豊富で身体を元気にしてくれます。
年齢を重ねるごとに食への関心が薄れ、気が付けばいつも同じようなメニューになっているという方も多いのではないでしょうか。

今回は、味覚の秋にちなみ、高齢者の食事で気を付けるべきことや必要な栄養素、食事を楽しくするコツについてご紹介します。

高齢者の食事で気を付けるべきポイント

高齢者の食事で気を付けたいポイントをご紹介します。

サンマ定食

噛みやすい食事

高齢者は加齢に伴う口腔機能の衰えや噛む力の低下により、硬い食材や繊維質が多く含まれる食べ物が食べにくくなります。
そのため、硬い食べ物を避けて、歯ぐきでも噛みきれるような柔らかさの食べ物を好むようになるため栄養も偏りがちです。

硬い食材は、以下のように調理方法を工夫すると食べやすくなります。

  • 一口大に切る
  • 肉の皮や脂肪部分を落とす
  • 野菜は長時間煮込む
  • トマトやなすは皮をむく
  • ホウレンソウや小松菜は葉先を使う
  • 根菜類は繊維を断ち切る

そのほかにも、のどに詰まりやすい食材は一口を小さめに切るなど、食べやすい形状にすることがポイントです。

飲み込みやすい食事

食べ物を飲み込みやすくするためは、以下の点に気を付けて調理することをおすすめします。

  • 柔らかくなるまで煮込む
  • 裏ごしする
  • ミキサーで細かくする
  • 片栗粉などでとろみを付ける
煮込み料理

また、高齢になると唾液の分泌が少なくなるため、水分が少なく、ぼそぼそとした食べ物が飲み込みにくくなります。
彩がよく、見た目がおいしそうな料理は唾液の分泌を促す効果があるので、できるだけ旬の食材を取り入れたり、出汁や調味料にこだわってみるのもいいでしょう。
ただし、水分が多いことすべてがよいわけではありません。
高齢者は水や味噌汁などでもむせることがあるため、さらさらした液体にはとろみを付けるなどの工夫も必要です。

食事中の姿勢

食べにくい姿勢だと、食事に集中しにくく誤嚥を引き起こしやすくなります。
椅子に座りテーブルで食べる場合は、足が床に付くように座り、軽く顎を引き、前かがみの姿勢をとってください。
テーブルと身体が離れていたり椅子の高さが合っていなかったりすると、食べこぼしや誤嚥の原因になるため注意しましょう。

ベッドに横になった姿勢で食べる場合は、前かがみになり、背中と後頭部が直線にならないように枕やクッションなどを入れて姿勢を安定させてください。

食事を食べる高齢者

高齢者に不足しがちな栄養素

高齢者に不足しがちな栄養素を4つご紹介します。

栄養素の説明

たんぱく質は筋肉をつくり出すのに必要な栄養素で、不足すると筋肉量が減り、太りやすくなる、疲れやすくなるなどの症状がでやすくなります。

高齢者はフレイル(介護が必要となる前段階の状態)予防のため、一日あたり1.0~1.2g×体重(kg)のたんぱく質を摂取することが推奨されています。

食品食材の重さたんぱく質の含有量
豚ロース50g約13g
70g約20g
牛乳180g約6g
50g約6g
納豆50g約8g

カルシウムが不足すると、骨が弱くなり骨粗しょう症になる確率が高くなります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日あたり成人男性は700~800mg、成人女性は650mgが摂取量の目安です。

カルシウムは、豆・果実類・魚介・海藻類などの食品からとることができます。
しかし、日常的に食品からの摂取が難しい場合は、サプリメントの活用もおすすめです。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きをするため、カルシウムとともに毎日摂取したい栄養素です。
きのこ類・魚介類・卵黄などに多く含まれていますが、カルシウムと同様にサプリメントでも手軽に摂取できます。
また、ビタミンDは一日20~30分程度日光に当たることにより体内で生成されるため、日光浴やウォーキングをおこなうこともおすすめです。

食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化して便秘になりやすくなるほか、肥満や糖尿病の原因になるともいわれています。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一日あたり成人男性は21g以上、成人女性は18g以上が摂取量の目安です。

食物繊維が含まれた食材は硬いものが多く、高齢者が苦手とする食材のひとつですが、先ほど紹介した調理方法を参考に、細かく切ったりよく茹でたりするなど工夫し、積極的にとるようにしましょう。

高齢者の食事を楽しくするコツ

毎日楽しく食事をとるために、以下の点を意識しましょう。

  • なるべく孤食を避ける
  • いろどりを工夫する
  • 旬のものを積極的に取り入れる
楽しい家族の食事

同居する家族構成の変化により、ひとりで食事をする「孤食」の高齢者が増えています。
高齢者は孤独や疎外感を感じやすいため、意識的に家族や友人などの誰かと楽しく食事する時間を設けるようにしましょう。
もしくは、同居者に高齢者がいる場合は食事の時間を合わせるなど、工夫してみてください。

また、ひとりで食事することが多い方は、毎日同じようなメニューになってしまうことも多く、栄養が偏りがちです。
食事は味覚だけではなく、視覚だけでも感じることができるため、なるべくカラフルな食材を使ったり、素敵な食器に盛り付けたりすると、いろどりや見栄えがよくなり「おいしそう」と感じやすくなります。

さらに季節に合わせた旬のものを取り入れれば、おいしくて栄養価の高い食事をとることができます。

秋が旬の食材とおすすめメニュー

秋が旬の食材や、旬の食材を使ったメニューをご紹介します。

  • きのこ
  • いも類
  • 鮭、さんま
秋の味覚

炊き込みご飯・混ぜご飯

旬の食材を使った炊き込みご飯は、さまざまな食材を手軽にとることが可能です。

  • 栗ときのこの炊き込みご飯
  • さつまいもとじゃこの炊き込みご飯
  • 里芋の炊き込みご飯
  • さんまと根菜類の炊き込みご飯
  • 鮭とチーズの混ぜご飯

さつまいもなどの根菜類は、炊き込みご飯にすれば柔らかくなり高齢者でも食べやすくなります。
ただし、いも類や栗ご飯だけでは栄養が偏るため、肉や魚、野菜の味噌汁などと一緒にとることで栄養バランスが整うのでおすすめです。
肉類や魚類を入れた炊き込みご飯は、たんぱく質がとれて風味もよくなります。

具だくさん味噌汁

メニューを考えるのが面倒なときや疲れているときは、具材をたくさん入れた味噌汁がおすすめです。

  • きのこと鶏肉の味噌汁
  • けんちん汁
  • きのこと鮭のミルクスープ
  • さんまのつみれ汁

野菜と肉類・魚類の味噌汁は、品数が少なくても栄養がたくさんとれます。
硬い野菜も細かく刻んで煮込めば柔らかくなるので、歯の調子が悪い方でもいろいろな野菜を楽しめます。
また、魚や肉はつみれにすればのどに詰まりにくく、高齢者でも食べやすくなるのでおすすめです。
塩分が気になる方は、牛乳や豆乳のスープにすると塩分が少なくても味がまろやかになるので薄味でも飲みやすくなります。

まとめ

旬の食べ物は栄養価が高く、免疫力や抵抗力を高める作用があります。
また、旬の食材はその季節に身体が欲している栄養を含んでいることが多いので、旬の食べ物をとって一年を通して元気に過ごしましょう。
しかし、年を重ねるにつれて食への興味が薄れてしまう方も多いため、気が付かないうちに食べる量が減る、同じ料理が多くなるなどで、栄養不足になっているケースもあります。
毎日手作りするのが難しい場合は、無理せずにスーパーやコンビニのお惣菜や冷凍食品もうまくご活用ください。
そして、食事が飲み込みにくくなったりむせたりする場合は、早めに口腔ケアも取り入れるようにしましょう。

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