高齢者の低栄養予防のためのポイントを知ろう!

栄養と高齢者

低栄養は、高齢者に身体的・精神的なリスクを引き起こす可能性があります。
低栄養を防ぐには、高齢者がこの問題に陥りやすい原因や対策を理解することが重要です。

今回は、高齢者の不足しがちな栄養素を補うポイントについてご紹介します。

高齢者は、口腔機能の衰えや噛む力の低下、唾液の分泌量の減少により嚥下機能が低下するため、やわらかく食べやすい食品を選ぶ傾向があります。
また、食べやすい食材だけに偏った食事が続いたり、準備や調理が困難になることで簡便な食事を選ぶことが多くなると、たんぱく質などの栄養素が不足し、栄養バランスが乱れるおそれがあります。

他にも、高齢者は慢性的な病気や薬の副作用によって食欲が低下したり、栄養素の吸収が妨げられることもあります。そのため、栄養バランスを考慮した食事の提供や栄養補助食品の活用が重要です。

くすり

身体が必要な栄養素を適切に摂れていない状態を低栄養といいます。
これは、食事が不十分であったり、栄養素の吸収や代謝が悪い場合に起こる状態です。

高齢者の低栄養がもたらすリスクを栄養素ごとにご紹介します。

リスク 高齢者

炭水化物(糖質)不足が引き起こすリスク

血糖値が安定しなくなり、低血糖のリスクが高まります。
低血糖はふるえ・めまい・倦怠感・意識の混濁・失神などの症状を引き起こす原因となります。
他にも、栄養失調を引き起こす可能性もあり、免疫機能の低下や筋肉減少のリスクが高まります。

たんぱく質不足が引き起こすリスク

免疫機能が弱くなり、感染症にかかるリスクが高まります。
高齢者は肺炎や尿路感染症などの重篤な感染症にかかりやすいため、治療が難しくなる傾向があります。
他にも、筋肉量の減少から身体の弱化や機能の低下を引き起こし、日常生活動作の困難さや転倒リスクの増加につながります。

カルシウム・ビタミンD不足引き起こすリスク

骨密度の低下が進むため、骨粗しょう症や脆弱性骨折になる可能性があります。
高齢者が骨折すると、寝たきりになるリスクが高まります。

これらの栄養素の不足は、高齢者に特有の健康問題を引き起こす可能性があります。
そのため食事のバランスをよくし、高齢者の健康維持や疾病の予防をすることが大切です。

低栄養が起こる原因を3つの側面からご紹介します。

身体的側面

加齢により体力が衰え、食事の準備や調理が困難になったり簡便な食品への依存が増したりすることで栄養不足となり、免疫力が低下します。

他にも、口腔機能や消化吸収機能の低下も食欲減退を引き起こし、1日の食事量の減少につながり、低栄養の一因になります。

食欲のない老人

社会的側面

高齢者は独居や社会的孤立によって、外出や買い物にいく機会が少なくなる傾向があります。とくに交通手段の制限や遠隔地に住んでいる場合は、より食品を購入する機会が減少します。
その結果、腐りやすい食品の代わりに保存ができる加工食品や非生鮮食品を選ぶことが増え、栄養バランスが偏るリスクが高まります。

経済的な負担から食事制限を余儀なくされる場合も、低栄養の恐れがあります。

独居

精神・心理的側面

高齢者が低栄養になる要因は精神・心理的側面もあります。

たとえば、

  • 運動能力の低下
  • 聴力の低下
  • 体力の低下
悲しんでいる高齢者

といった、身体機能の衰えに伴う精神的ストレスが、食欲の低下を招く場合があります。

また、配偶者や親しい友人・身近な存在の喪失は、悲しみや孤立感・不安・自己価値感の低下・抑うつなどの心理的影響をもたらす可能性があり、食欲が低下して低栄養につながることがあります。

高齢者の低栄養を防ぐ対策として、以下2つのサポートが有効です。

食と高齢者

食事の準備と調理のサポート

病歴やアレルギー、好みを考えながら、食べやすく栄養バランスのよい食事にすることが重要です。

社会的なサポート

高齢者が独居や社会的孤立に陥らないよう、地域の支援を受けることが重要です。

家族のサポートや地域のサービスを利用し、交流を持つことで、健康的な食事環境を整えることができます。

低栄養にならないためにも、高齢者の不足しがちな栄養素を補うポイントをご紹介します。

高齢者と栄養

炭水化物を補う

体を動かす源となる炭水化物は体力を維持するためにも重要です。
ご飯・パン・麺・イモ類・砂糖などに多く含まれており、1日に必要なエネルギーの60%程度を炭水化物から摂取するのが望ましいといわれています。

たんぱく質を補う

筋肉や組織の維持・修復に必要なたんぱく質は不足しがちです。
魚・肉・大豆製品・乳製品などのたんぱく質源を積極的に食事に取り入れましょう。

カルシウム・ビタミンDを補う

骨の健康を維持するには、カルシウム・ビタミンDを十分に摂取することが重要です。
乳製品・青魚・大豆製品などからカルシウムを、日光浴やサプリメントからビタミンDを摂ることができます。

食事には多種多様な食材を取り入れることが大切です。
野菜・果物・穀物・たんぱく質源(肉・魚・豆類)・乳製品など、バランスよく摂取することで栄養の偏りを防ぎます。


消化や嚥下が難しい場合は、やわらかい食材やペースト状の食品を選ぶなど、調理法に工夫をしてみましょう。
食欲を促すために見た目や香りの工夫も大切です。

高齢者の食事動作訓練は、食事を自立しておこなう能力を維持・向上させるためのプログラムです。
具体的には以下の通りです。

食事前の準備

食事の準備や取り分け、カトラリーの配置など、食事の前段階での動作も訓練の対象です。
自分で食事をするために必要な準備作業をおこなうことで、食事の自立性が高まります。

手の使い方の練習

食器の持ち方やスプーン・フォークの使い方など、食事に必要な道具を使う際の手の使い方を練習します。
握力や指の運動を含む手のトレーニングをおこないます。

姿勢の維持

正しい姿勢を保つことで、食事中の安定感や嚥下のしやすさが向上します。
背筋を伸ばし、椅子にしっかり座ることを意識しておこないます。

低栄養は高齢者にとって重大なリスクです。
高齢者の栄養摂取目標や不足しがちな栄養素を補う方法、食事改善のポイントを理解することは、健康で活力に満ちた生活を送るために欠かせません。
また、高齢者の食事動作訓練を個々の能力やニーズに合わせておこなうことで、運動能力の低下が原因で起こる低栄養のリスクを軽減できます。

いつまでも健康な毎日を過ごすために、今回ご紹介した低栄養予防の方法を普段の食生活に取り入れてみてください。

食事動作訓練は「DSセルリア」で

当社では、訪問看護とリハビリ型デイサービスを提供しています。
「トータルリハセンター(TRC)」では、機能訓練などに加え、食事を自立しておこなう能力を向上させるプログラムを通して、食事動作訓練をおこなっています。

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施設見学・ご相談は随時受け付けております

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