高齢者の姿勢が悪くなる原因と姿勢の改善方法

高齢者 姿勢

背中や腰が丸くなるのは、年をとったから仕方がないと諦めていませんか?
正しい姿勢は印象が良いだけでなく身体の不調軽減につながり、反対に、姿勢の悪さは肩こり・腰痛・膝痛・転倒の原因になります。

今回は、姿勢が悪くなる原因や改善方法をご紹介します。

高齢者の姿勢が悪くなる原因は?

高齢者の姿勢が悪くなる主な原因をまとめました。

筋力の低下

多くの人が加齢によって筋肉の量や質が低下します。
特に背中や腹部の筋肉が弱くなると、正しい姿勢の維持が困難になります。

原因
1
関節の硬直

関節の可動域が狭まり硬直すると、正しい姿勢の維持が困難になります。

原因
2
骨密度の低下

高齢者は骨密度が低下しやすく骨折のリスクが高いです。
骨折すると、姿勢が悪くなることが少なくありません。

原因
3
視覚の問題

視力や視野、バランス感覚が低下すると、正しい姿勢を維持することが難しくなります。

原因
4
慢性的な痛み

身体に慢性的な痛みがある場合、痛みをかばうために、前かがみや丸まった不自然な姿勢をとることでほかのところにも負荷がかかります。
反動で別のところが痛くなってくるかもしれません。

原因
5
生活習慣

長時間同じ姿勢でいることや運動不足、不適切な座り方や立ち方なども姿勢に悪影響を与えます。

原因
6

悪い姿勢がもたらす症状や身体への影響は?

背骨が丸まり、上半身が前方に傾いた状態が「猫背」です。
筋肉の衰えなどから、高齢者の背中や腰の曲がりが進行した状態を「老人性円背(えんぱい)」といいます。

悪い姿勢を続けると筋肉や関節の負担が増え、肩こりや腰痛、関節痛などを引き起こしやすいだけでなく、生活動作がしづらくなるなどの影響もあります。

高齢者 猫背 円背

バランス能力の低下

姿勢が崩れて体の重心が変わるとバランスを保つことが難しくなり、座るときに尻もちをつきやすくなるため、転倒リスクが高まります。
また、転倒を防ぐためにはトレーニングも大切です。

尻もち

座位耐久性の低下

座位耐久性とは、椅子に座ったときのバランスなどの意味です。
高齢者は骨の拘縮や筋肉の萎縮が起こりやすく、バランス感覚とともに座位耐久性も低下します。

座位耐久性の低下は、以下の理由から日常生活に支障をきたすだけでなく、要介護状態につながるリスクも潜んでいます。

  • 座っているとすぐに姿勢が崩れて、椅子から落ちそうになる
  • 椅子に座って食事を摂る際、姿勢が左右に傾いて食べにくい

呼吸が難しくなる

円背になると、胸や肋骨が丸まった状態で固まります。
背骨を反らす機能が弱くなると肺などの器官が圧迫され呼吸が難しくなり、息苦しい状態になりやすいです。
体の中の酸素が少なくなれば、筋肉の働きも悪くなります。

圧迫骨折のリスク増大

円背は背骨が前に倒れる状態が恒常化しているため、背骨が重みに耐えきれなくなり潰れてしまいます。「いつの間にか骨折」とも呼ばれる圧迫骨折につながりやすくなるのです。
圧迫骨折は外部からの圧力によって生じる骨折で、周囲の組織や血管、神経にも損傷を与えることがあります。

誤嚥のリスク増大

前傾姿勢の円背は自然と顎が上がるため、気道が広がります。食べ物や唾液が気管に入りやすくなり、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
誤嚥性肺炎は危険な病気なので、誤嚥させないことが大切です。

高齢者の円背予防と対策

高齢者の円背を予防・改善する方法をご紹介します。
円背になってしまった場合も、正しい姿勢に戻す努力を続けることで改善が見込めます。

良い姿勢を意識する

背中や腹部の筋肉が弱くなると、無意識に背中が丸くなりがちです。日常生活で常に正しい姿勢を保つよう心掛けましょう。
鏡などを利用し、ご自身の姿勢をチェックするなどもオススメです。

正しく立つ

高齢者はとくに安定性やバランスを重視し、腰や関節への負担を最小限に抑えて立つことが重要です。
耳・肩・股関節・膝関節・足首が横から見て真っ直ぐになるよう意識しましょう。膝を軽く曲げることで、関節にかかる負担を軽減できます。
足を肩幅よりもやや広めに配置し、足先を外側に向けておくと体が安定し、バランスが取りやすくなります。

高齢者 姿勢

正しく座る

耳・肩・股関節が一直線になるように意識して座ります。
足が浮いている状態や床につかない状態は、腰に負担をかける可能性があるため、足を床にしっかりとつけ、膝を90度に曲げるようにしてください。
体重を均等に分散させ、片方に偏らないように座り、必要に応じて腰や背中のサポートとして、クッションや枕を利用しましょう。

正しい姿勢で座ると無理なく上体を起こすことができ、体幹の筋力も自然と鍛えられます。
しっかり頭を起こせるようになると、誤嚥防止にもつながります。

正しく歩く

背中を伸ばし、足はかかとから入りつつ足裏全体で着地して、自然と地面から離れるように歩きましょう。足を十分に持ち上げ、つま先が地面に引っかからないように歩くと、つまずきや転倒のリスクが軽減します。
滑りにくい底やしっかりとしたサポートがある靴など自分の足に合った靴を選ぶことも重要です。

食生活を改善する

骨粗しょう症や圧迫骨折を防ぐために、カルシウム、ビタミンD、マグネシウムを積極的に摂取して骨を強くしましょう。

栄養素含有率が高い食べ物
カルシウム魚介類、大豆、乳製品、海藻類、いりごま
ビタミンDきのこ類、魚介類、卵、乳製品
マグネシウムナッツ類、海藻類、穀類、大豆、バナナ

カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDは、日光浴によって肌で合成されます。
また、階段を降りるときに足の裏からくる刺激は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムが骨に定着することを助けます。

納豆や海藻類、緑黄色野菜に含まれるビタミンKはカルシウムの吸収を促すため、一緒に摂取すると効果的です。

骨の栄養素

ストレッチをする

筋肉の柔軟性と関節の可動域を向上させるストレッチで、筋肉を強化すると姿勢の改善に役立ちます。効果を得るために、正しい方法で継続的にストレッチすることが大切です。
ただし、ストレッチは適切な方法で行わないと逆効果になることもあるため、痛みや違和感がある場合は無理をしないでください。

  • ウォームアップを怠らない
  • 呼吸を止めない
  • 反動をつけない
  • 関節に無理な力をかけない
  • 医師の指示を守る

上記に気をつけながら、無理せず行うことが肝心です。

サポート器具を使う

良い姿勢を保つために、サポート器具の利用もおすすめです。

  • 杖や歩行器、シルバーカーなどの歩行補助具
  • コルセットやサポーター
  • 背中や腰、骨盤をサポートする椅子
歩行 サポート器具

まとめ

姿勢が悪くなる原因や予防・改善方法を解説しました。
良い姿勢を保つことや悪い姿勢を少しでも改善することは、健康寿命の延伸にとっても、重要な役割があります。
高齢者の円背は生活動作がしづらくなるだけでなく、転倒や誤嚥、圧迫骨折のリスクが高まるため、しっかりと改善に取り組みましょう。

高齢者の姿勢改善トレーニングやリハビリは「DSセルリア」で

「トータルリハセンター(TRC)」は、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士)と歯科衛生士が、口腔と全身のリハビリを本気で取り組むデイサービスです。
機能訓練などのプログラムに加え、嚥下(飲み込み)訓練や口腔機能向上のためのプログラムを加えることにより、全身の健康の維持と身体機能の回復を目指します。

「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士等がご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供いたします。

腰痛予防のストレッチに「グッチューブ」をご紹介

姿勢を正して体のバランスを整えるストレッチをご紹介します。

寒い時期に「立ち上がると膝に痛みがはしる」「膝が痛くて階段の昇り降りがつらい」という方にもおすすめです。
いつまでも健康的に過ごすために、今回紹介したストレッチや予防・対策に取り組んでください。

施設見学・ご相談は随時受け付けております

ご自宅での介護に関してお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」をご提供しています。
また介護従事職にご興味のある方も、お気軽にお問い合わせください。