高齢者の体温調節機能低下の原因と対策

高齢者 体温調節機能低下

高齢者は、体温を一定に保つ体温調節機能が低下しやすい傾向にあります。
体温調節機能が低下すると、健康に深刻な影響を及ぼすため、周囲の理解と対策が重要です。
今回は、高齢者の体温調節機能低下の原因と対策についてご紹介します。

高齢者の体温調節機能低下の原因

高齢者の体温調節機能低下の主な原因は、以下のとおりです。

発汗量や血流の減少

加齢によって汗腺が小さくなり汗をかきにくくなることに加え血流も減少します。
体が熱を放出するために必要な発汗や血流の増加が遅れると、体温調節が困難になってしまいます。

理由

体内の水分不足

成人の体内水分量は体重の約60%ですが、高齢者は約50%と少なく、脱水症になりやすいです。また、喉の渇きを感じる機能が低下するため、水分摂取量が不十分になりがちです。
体内の水分不足は、発汗や血流の調整を阻害し、体温調節機能を低下させます。

体内の水分量
理由

皮膚の温度センサーが鈍る

人間には皮膚の奥に温度センサーがあり、気温を感知して発汗量や血流を変えて体温を調節します。
しかし、年齢を重ねると皮膚の温度センサーの感度が鈍くなり、暑さや寒さを感じにくくなります。その結果、気温変化が正確に脳に伝わらなくなり、適切な体温調節ができないなどの状態になります。

理由

自律神経の働きの低下

高齢になると自律神経の働きが低下し、体温調節が難しくなります。
また、認知症を発症すると、自律神経の調節機能に異常が生じることもあります。

レビー小体型認知症では、多汗や皮膚の血管拡張などによる低体温の症状が起こり、周囲の気温などとは関係なく体温が不安定になります。

具合が悪い 老人
理由

体温調節機能が低下すると危険な理由

高齢者の体温調節機能が低下すると、以下のようなさまざまな健康問題を引き起こすため注意が必要です。

  • 体温が正常に維持されないと免疫機能が低下し、感染症に対する抵抗力が弱まって病気にかかりやすくなる。
  • 寒さや暑さに適応できず、体温が極端に変動すると心血管系に負担がかかり、心臓発作や脳卒中のリスクが高まる。
体調が悪い 高齢

体温調節機能が低下することでかかりやすい病気

高齢者は体温調節が難しくなると、免疫機能が弱まりさまざまな病気にかかりやすくなります。
体温調節機能が低下することでかかりやすい病気についてご紹介します。

無熱性肺炎

無熱性肺炎とは、発熱を伴わない肺炎のことです。
高齢者は体温調節機能が低下していると肺炎にかかっても熱が出ないことがあり、症状が見過ごされやすく治療が遅れることがあります。

無熱性肺炎は他の病気を引き起こすリスクもあります。例えば、呼吸器系の感染症や心血管系の問題を悪化させる可能性があり、注意が必要です。

体調不良 高齢者

高齢者の低体温症

低体温症は、気温が低い環境に長時間いることが原因で体温が35度以下になる状態です。
体温が35度以下になると身体の機能が正常に働かなくなり、意識障害や心機能の低下を引き起こします。

高齢者の低体温症は、特に寒冷な季節以外にも、災害時など容易に温まることができない場合などにも見られます。
高齢者は寒さに対する感受性が低く、体温がゆっくり落ちるため自覚症状も少なく、気付かないまま進行してしまうことがあります。寒いと感じたら、暖房を入れて適切な温度環境を整え、毛布などの防寒具で体を温めるなど対策することが大切です。

熱中症

体温調節機能が低下していると暑さに対して適切に対応できず、熱中症になりやすいです。
熱中症は、重篤な健康問題を引き起こす可能性があり、特に猛暑日には注意が必要です。

熱中症の症状には、めまいや頭痛、吐き気、意識障害などがあります。高齢者はこれらの症状に気付きにくいため、周囲の人が積極的に観察をして予防と対策をしてあげましょう。

夏バテ 高齢

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高齢者の体温調節機能低下への対策

体温調節機能低下の対策には、適度な運動がおすすめです。
運動を習慣化することは体温調節機能の向上だけでなく、体力維持や筋力増強、心身の健康維持にも役立ちます。
無理のない範囲で運動を定期的におこない、適切な水分補給を心掛けましょう。

ウォーキングなど負荷の少ない運動は、高齢者でも取り入れやすいです。また、椅子に座ったままできる軽いエクササイズや、腕や足の筋力トレーニングもおすすめです。
筋肉を柔らかくするストレッチ運動も、関節の柔軟性維持に効果的なため、起床後や運動後、お風呂上がりなどにおこなう習慣をつけましょう。

一人ひとり体力や健康状態が異なるため、それぞれ調整しながら運動することが重要です。
医師やリハビリ専門職の指導のもと、安全に運動を取り入れましょう。

周囲がおこなう高齢者の健康管理

高齢者の体温調節機能の低下に対する健康管理には、周囲の協力が不可欠です。以下をポイント参考にして、高齢者の健康を守りましょう。

部屋の温度を管理する

自宅などの居住施設の温度を適切に保ちましょう。
冷房や暖房の温度設定が高すぎたり低すぎたりしないように注意することが大切です。寒冷な季節や暑い日には、室温の調整をこまめにおこなうように意識してください。

室内外の温度差が大きい場合は、服装による体温調節が必要です。
冬場は暖かい衣類や防寒具、夏場は涼しい服装など、季節や環境に応じて適切な服装の選定が求められます。

Point

水分補給を促す

高齢者は水分摂取量が不足しがちです。
暑い日や運動後は、熱中症や脱水を予防するために十分な水分補給をするように促しましょう。

水分補給が上手にできない高齢者は、水分量の多い野菜・食事・ゼリーなどの食べ物から水分摂取するのがおすすめです。また免疫力を高めるために、ビタミンやミネラルを含む食材などを使った栄養バランスの取れた食事を提供するとより良いでしょう。

水分補給を促す
Point

定期的に検温する

高齢者の体温を定期的に測定することで、早期に無熱性肺炎や熱中症の初期症状といった異常を発見できます。
起床時、昼食前、夕食前、就寝前の1日4回測定して体温の傾向を記録します。高齢者は一般的に若い人よりも体温が低い傾向にありますが、体温には個人差があるため、普段から平熱を知っておくことが大切です。
体温の変化で体調の変化にも気付くことができます。

Point

医療機関と連携する

定期的に医療機関を受診し、高齢者の健康状態を把握しておきましょう。
医師のアドバイスに従い、体温調節機能の低下に関する注意点や適切なケア方法を学びます。

医療機関と連携することで、高齢者の体温調節機能低下による健康リスクを軽減し、快適な生活を支援することができます。

医者の意見
Point

まとめ

高齢者は体温調節機能が低下するとともに、寒さや暑さに対して適切な行動を起こす判断能力が弱まります。
周囲の人が協力して高齢者の生活を見守り、室温管理や水分補給の対策をおこなうことで、高齢者が安全に過ごせる環境を整えることができます。そして、少しでも不安があれば、DSセルリアのデイサービスや訪問看護などをのご利用もご検討ください。

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