高齢者の腰痛リスクを減らす!予防を意識した生活習慣
腰痛を我慢していませんか?
つらい痛みに発展する前に、腰痛の原因を取り除くことが重要です。
とくに高齢者は腰痛を我慢することで、全身にさまざまな影響を及ぼすことがあります。
今回は、高齢者に多い腰痛の原因や予防・対策をご紹介します。
目次
腰痛とは?
腰痛は病気の名称ではなく、主に腰部に痛みや不快感を引き起こす疾患の総称です。
腰を曲げたときや疲れたときに痛む、突然の激痛で動けなくなるなど、腰痛の原因や症状は多岐に渡ります。中には、早く病院を受診したほうがよい症状も。
腰痛の原因を探り、それに合った適切な治療を行うことが大切です。
厚生労働省の統計『令和4年国民生活基礎調査(世帯員の健康状況)』によると、病気や怪我等で自覚症状のある人の上位症状は、男女ともに1位が腰痛です。職業や生活習慣、ストレスなどの要因が複合的に絡むケースも少なくないため、多くの人が腰痛の悩みを抱えています。
この腰痛には、医師の診察や検査によって原因がはっきり特定できる「特異的腰痛」と、原因を特定できない「非特異的腰痛」の2種類があります。
特異的腰痛
特異的腰痛は、医師の診察および検査で原因が特定できる腰痛です。
加齢や運動量の低下も原因のひとつで、50代から徐々に増え始め、60〜70代に多くみられます。
主な症状は、歩いているときや立っているときの臀部から下肢にかけての痛みやしびれです。
変形性関節症(骨関節炎)
腰椎の関節や椎間板の変性により痛むことがあります。
椎間板ヘルニア
椎間板が損傷して内部のゲル状の組織(髄液)が外に漏れ出すと、神経を圧迫して痛むことがあります。
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)
椎骨が連なってできたトンネル状の管である、脊柱管が狭まり痛む病気です。
下記は特異的腰痛の原因の一例です。
圧迫骨折
背骨の本体、椎体と呼ばれる部分が負荷に耐えかねて潰れて起こる骨折です。腰椎圧迫骨折は高齢者や女性に多く、激しい腰の痛みや下肢のしびれ、麻痺などを引き起こします。
骨粗しょう症
骨の強度や密度が低下して脆くなり、骨折しやすくなる病気です。
高齢者ではこれが腰痛の原因となることがあります。
「10月20日は世界骨粗鬆症デー」では骨粗しょう症がどんな病気か、またその予防方法について詳しく解説しています。
外傷や過度な運動
過去の外傷や長期間の不適切な姿勢、過度な運動が原因となり、腰痛が発生することがあります。
内臓疾患
胃や膵臓、大腸などの内臓に疾患がある場合、じっとしていても、姿勢とは無関係に腰痛の症状が現れる場合があります。
非特異的腰痛
非特異的腰痛とは、重い基礎疾患などがなく、X線やMRIなどの画像検査をしても原因を特定しきれない腰痛のことです。
腰痛の約85%は、非特異的腰痛といわれています。
ぎっくり腰(急性腰痛症)
ぎっくり腰は、重いものを持ち上げたときや腰を捻ったときなどに突然生じる腰痛で、発症してから4週間以内のものを指します。
痛みの原因は、主に腰の関節やその周りの筋肉、靱帯にあると考えられますが必ずしもはっきりするわけではありません。
安静にしていると自然に治ることも多く、鎮痛薬などの薬物療法や痛みを和らげるための神経ブロック療法などが必要に応じて行われます。
生活習慣が原因の腰痛
不良姿勢
悪い姿勢が習慣化すると骨盤が歪み、腰への負担を分散させたり逃したりできず痛みが生じます。
さらに、長時間同じ姿勢を取り続けると筋肉の緊張状態が続いて硬化し血流も悪くなり、腰痛につながります。
運動不足
運動不足が続くと筋肉や関節が硬くなり可動域が狭くなります。
また腰の筋肉が衰えるとよい姿勢が取りにくくなり、腰痛リスクが高まります。
ストレス
自律神経を乱すストレスがあると、血流が悪化して腰痛につながりやすくなります。
ストレスが長時間続くと痛みを強く感じることもあり、注意が必要です。
慢性腰痛
慢性腰痛とは筋肉の炎症による痛みと神経の痛み、ストレスなどが複雑に合わさった腰痛です。
腰痛によって身体を動かさないでいると、精神的なストレスとなります。精神的なストレスが続くと、痛みをコントロールする脳のシステムが機能しなくなって神経が過敏になり、さらに腰痛が悪化。
腰痛が悪化すると身体をますます動かさなくなる悪循環に陥り、これが慢性化の原因となります。
高齢者の腰痛予防と対策
腰痛を予防するには、普段から腰に無理な負担をかけないよう姿勢に注意するとともに、腰回りの筋肉を鍛えることが大切です。
姿勢に気をつける
- 立つ時は上に伸びるように背筋を伸ばす
- お腹に力を入れる
- 膝を軽く曲げる
- お尻をすぼめる
日常の動作に気をつける
- 常に背筋を伸ばすように意識する
- イスには深く腰かけ机に近づく
- 荷物を持ち上げる時は膝を少し曲げる
- 横向きで寝る
歩くときに疲れて前かがみになってきたら、一度上に伸びる姿勢を取りましょう。
また、座るときは骨盤をしっかり起こし、背中を丸めないように意識することで、よい姿勢や腰の筋肉に効果があります。
ストレッチを習慣化する
腰痛の予防・改善のために、ストレッチを習慣化しましょう。
- 呼吸を止めると血圧が高くなりやすいため、呼吸を止めない
- 痛みのない範囲で行う
- 体調が優れない時は体操を行わない
上記に注意し、丁寧に行うことで、凝り固まった背筋群の血流と姿勢の改善が期待できます。
運動する
運動することで、背骨や腰を支える筋肉の柔軟性を保ちましょう。筋力が衰えると腹圧も下がり、腰の支持性が低下します。
例えば、水中ウォーキングは浮力により腰の負担が少ない状態で運動ができ、水の抵抗で筋力がつくのでオススメです。
がんばり過ぎない適度な運動を心掛けましょう。
入浴でストレスを解消する
40℃ぐらいのぬるめのお湯にゆったりと入浴して、筋肉の緊張をほぐすと血行と腰痛の改善につながります。入浴剤を使えば、効果もより高まります。
生活習慣の見直しや日頃から腰の筋肉のバランスを整えて腰痛を予防しましょう。
腰痛の治療方法
激しい痛みが長期間続く場合やしびれを伴う場合は、専門医による治療を受けてください。
薬物療法
腰痛の薬物療法はその時期と重症度によって変化します。
急性期は、非ステロイド性鎮痛薬(ロキソニンやボルタレンなど)のいわゆる痛み止めを用います。
神経ブロック療法
神経ブロック療法とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して痛みをなくす方法です。麻酔薬が神経に作用し痛みの伝達経路をブロックすることで、痛みを取り除きます。痛みが緩和されると血流がよくなり、筋肉のこわばりもなくなります。
一度で完治するものではなく、薬物療法と併せて複数回実施するのが一般的です。
装具療法
装具療法では、主にコルセットを使用します。コルセットの効果は次の2つです。
- 腰椎の動きを制限して、腰部の負担を減らす
- 腹圧を高めて、腰椎にかかる負担を減らす
まとめ
腰痛の原因や予防・対策を解説しました。
高齢者は、腰を支える筋力の衰えや精神的な落ち込みで腰痛を発症しやすくなります。腰痛で日常生活が制限されると体力が低下します。
悪循環を断ち切るためには、中腰にならないなど姿勢に注意し、腰の筋力・バランス力を高める運動やストレッチを習慣化しましょう。
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またストレッチや運動をしても長期間、腰痛が改善しない場合は病院を受診し、命にかかわる病気がないか確認することが大切です。
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