高齢者の血圧正常値とは?高血圧のリスクと血圧管理を解説

血圧 正常値 高齢者

加齢とともに高血圧の方は増加傾向にあります。
そのため、高齢者の血圧について理解することは、健康管理をおこなう上で欠かせません。
高血圧の原因や症状を知り、生活習慣の見直しをするなど、対策をおこないましょう。

今回は、血圧の正常値や高血圧のリスク、管理方法についてご紹介します。

血圧とは?

血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出すときと、心臓が拡張して血液を取り込むときに血管壁にかかる圧力のことです。
この圧力は、動脈に血液が流れる際に、血管壁にかかる力を測定することで確認できます。

血圧には「収縮期血圧」と「拡張期血圧」があります。収縮期血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出すときに最も高くなる血圧で、一般的に「最高血圧」と呼ばれます。拡張期血圧とは、心臓が拡張して次の収縮に備えるときに最も低くなる血圧で、「最低血圧」とも呼ばれます。

血圧測定

通常、血圧は「上の血圧/下の血圧」で示され、「120/80」という数値の場合、収縮期血圧(最高血圧)が120mmHgで拡張期血圧(最低血圧)が80mmHgとなります。
この数値は一般的に健康的な血圧の正常値とされますが、健康状態や年齢、生活習慣によって理想的な血圧は変化します。
※mmHgは水銀柱ミリメートルといい、医療現場では主に血圧の単位として使用されています。

高齢者の血圧正常値

血圧は、年齢とともに少しずつ変化します。
平均値をみると、年齢を重ねるにつれて、正常値よりもやや高めに推移する傾向があります。特に、60代を超えると、男女ともに最高血圧が正常値より大きく上回る傾向があるため、注意が必要です。

年代男性(最高血圧/最低血圧)女性(最高血圧/最低血圧)
50代129.7 / 81.0121.8 / 78.3
60代134.1 / 78.3130.6 / 76.7
70代以上133.9 / 74.5133.1 / 73.9
参考:厚生労働省「令和元年国民栄養基礎調査」(降圧剤を使用している人を除外した血圧の平均値)

75歳以上の約70%は高血圧といわれ、高齢者が血圧の正常値を保つことは容易でないことがわかります。
そのため、まずは年齢に応じた平均値や目安を理解し、焦らず安定した血圧を保つことが大切です。

引用元:公益財団法人 日本心臓財団「虚血性心疾患セミナー」

高血圧になりやすい高齢者

高血圧とは?

高血圧(hypertension)とは、血液が血管壁に加える圧力が通常よりも高い状態を指します。
一般的に、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
高血圧は自覚症状がほとんどないまま進行しますが、血管や心臓への負担が長期間続くことで、動脈硬化や臓器障害を引き起こすことがあります。その結果、心臓病や脳卒中などの重篤な合併症を招くリスクもあるため、日常的な血圧の管理が重要です。

高血圧の原因

高血圧の原因は複数あり、主に以下のような要因が挙げられます。

  • 高塩分の食事
  • 肥満
  • 運動不足
  • ストレス
  • 遺伝的要因

特に日本人の場合、塩分の摂取量が多いことが問題とされています。
これは、味噌やしょうゆなどの調味料の塩分過剰摂取に加え、漬物や魚の干物を好む日本人の食文化が関係していると考えられています。

高血圧の症状

高血圧は、自覚症状がほとんどないまま進行しますが、以下のような症状が現れる場合もあります。

  • 頭痛:特に朝方や運動後に頭が痛む
  • めまい:立ち上がるときや急な動作をしたときに目がくらむ
  • 呼吸困難: 運動中だけでなく、通常の活動時にも呼吸が乱れる
  • 胸痛:胸の圧迫感や不快感がある
  • 不規則な心拍:心臓の動悸や不規則な拍動を感じる
  • 視覚障害:視野が狭くなったり、目がかすむ
高血圧の症状のひとつ、頭痛

ただし、これらの症状は疲労などでも起こるため、自覚症状だけで高血圧と判断するのは難しいとされています。そのため、高血圧のリスクがある方は、症状がなくても定期的に血圧を測定し、医師の診察を受けましょう。

症状が進行した場合

症状が進行すると以下のような症状が現れます。

  • 耳鳴り
  • 視力障害
  • 顔や手足のむくみ

高血圧がより深刻な状態になると、血管の圧力が内耳や網膜に悪影響を及ぼすことがあります。

高血圧によって内耳の血管壁に圧力がかかると、耳鳴りや難聴が生じることがあります。また、網膜や視神経に悪影響が及ぶことで視力が低下するほか、血液循環の悪化により手足などにむくみがみられる場合もあります。
こうした症状が現れた際は、早めに医師の診察を受けましょう。

高齢者の高血圧リスク

高齢者は、加齢によって血管の弾力が低下し、血圧が高くなりやすい傾向があります。これは、血管の老化や腎機能の低下、ホルモンや自律神経の働きの変化など、年齢とともに起こる身体の自然な変化が関係しています。

特に70代以降では、血管や臓器の機能変化が進むことで、身体のさまざまな部分に負担がかかるため、日常生活に悪影響を与えます。

毎日の血圧測定に加え、体調などの変化に早めに気付くことが、年齢を重ねても健康に過ごすための第一歩です。

むくみ

転倒やケガのリスク

高血圧が続くと、血流や神経の調整機能が乱れ、ふらつきやめまいが起こりやすくなります。また、視力の低下などの症状が重なることで、歩行中のバランスを崩し、転倒の危険性が高まります。
転倒は骨折や寝たきりの原因にもつながるため、血圧を安定させることが大切です。

認知機能の低下や生活への悪影響

近年の研究では、高血圧と認知症の関連も指摘されています。
慢性的に血圧が高い状態が続くと、脳への血流が安定しにくくなり、記憶力や判断力に悪影響を与えることがあります。
また、息切れや疲れやすくなり、外出や運動の機会が減ると、体力や気力の低下にもつながります。適切な血圧管理を続けることで、心身の健康を保つことができます。

高血圧が引き起こす合併症とそのリスク

高血圧は、血管に強い圧力がかかり続けることで全身の臓器に負担を与え、さまざまな合併症を引き起こす一因となります。
特に、糖尿病や心臓病、脳卒中などの重大な疾患の発症リスクを高めることが知られています。

糖尿病

高血圧によって血管がダメージを受けると、糖尿病による血管障害が進行する可能性があります。
血管障害により網膜症、腎症(糖尿病腎症)、神経障害などの合併症が発生するリスクが高まります。

心臓病

持続的な高血圧によって心臓に負担がかかり、心臓病のリスクが増加します。
心臓は血液を身体中に送り出す際に力を要しますが、高血圧はこの力を増大させ、心臓に過度の負担をかけます。
心不全や冠動脈疾患(胸痛や胸部圧迫感)などの心臓病のリスクが高まります。

高血圧の合併症の心臓病

脳卒中

高血圧は脳にも悪影響を与えるため、脳血管障害や脳卒中のリスクが高まる場合があります。
脳卒中には、血管が詰まる「虚血性脳卒中」や血管が破れる「出血性脳卒中」があり、高血圧はそのリスクを増加させるからです。

高血圧による合併症のリスクを最小限に抑えるためには、定期的な健康チェックや適切な治療、健康的な生活習慣の維持が重要になります。
また、医師の指示に従い、血圧や血糖値を定期的にモニタリングすることも必要です。

生活習慣の改善

高血圧を予防・改善するためには、日々の生活習慣を見直すことが大切です。
ご自身での取り組みに加え、ご家族さまや専門職によるサポートを上手に取り入れていきましょう。

ご自身でできる取り組み

  • 食事:減塩・適量を意識し、野菜や魚を中心にバランスのよい食事をする。
  • 運動:ウォーキングなどの軽い運動を無理のない範囲でおこなう。
  • 睡眠とストレス管理:規則正しい睡眠・休息を取り、リラックスする時間を確保する。
  • 喫煙・飲酒:禁煙を心掛け、アルコールを過度に摂取しない。
  • 血圧の記録:朝・晩に家庭用血計で測定し、体調の変化を確認する。
適切な運動

ご家族さまや専門職などの周囲のサポート

ご家族さまの協力や、専門職のサポートも安定した血圧管理のために、積極的に取り入れましょう。

【ご家族の支え】
一緒に減塩や運動を実践すると、継続した取り組みにつながりやすいです。また、体調を見守ることが変化の早期発見にもつながります。

【専門職のサポート】
かかりつけの医師や看護師などの専門職から、体調を考慮したアドバイスを受け、無理のない範囲で生活習慣の改善に取り組みましょう。

【DSセルリアの取り組み】
DSセルリアでは、リハビリ型デイサービスによる、運動の取り組みや、血圧測定や健康相談などのサポートをご利用いただけます。また、訪問看護にも多数の専門スタッフが在籍しているため、「最近血圧が高めで不安」「何から始めればいいかわからない」など、お気軽にご相談いただけます。

適切な食事

まとめ

血圧の正常値や高血圧のリスク、管理方法についてご紹介しました。
高齢期の血圧管理は、健康を守る上でとても大切です。

高血圧は、身体のさまざまな器官や組織に影響を及ぼし、合併症を引き起こすリスクがあります。
生活習慣の見直しや医師の指示に従って適切な治療、薬物療法などをおこない、正常な血圧を維持しましょう。

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