高齢者の食欲不振はなぜ起こる?原因と栄養・水分補給の工夫を解説

高齢のご家族さまの食欲不振に悩むご家庭は少なくありません。高齢者は加齢による体の変化などから食欲が低下しやすく、放っておくと低栄養や脱水につながるおそれがあります。特に夏は、暑さや脱水の影響が重なり、さらに食欲が低下しやすい時期です。
そこで本記事では、高齢者が食欲不振になる主な原因や、無理なく栄養と水分を補給するための工夫についてご紹介します。
高齢者が食欲不振になりやすい原因
高齢者の食欲不振には、加齢に伴う体の変化や生活環境など、さまざまな要因が関係しています。特に夏は、暑さによる体力の消耗や脱水の影響も重なり、食欲が落ちやすくなります。ここでは、高齢者が食欲不振になりやすい主な原因についてご紹介します。
加齢による消化機能の低下や味覚の変化
高齢者は、加齢に伴う体の変化によって食欲が低下しやすくなります。年齢を重ねると、胃酸や消化酵素の分泌が減少し、食べ物を消化する力が少しずつ低下することがあります。また、味やにおいを感じる力が衰えたり、噛む力や飲み込む力が低下したりすることで、食事を十分に楽しめなくなる場合もあります。その結果、脂っこい料理で胃もたれを起こしやすくなったり、食べ物をおいしいと感じにくくなったりして、食欲不振につながることがあります。

自律神経の乱れや夏バテ
気温や環境の変化、疲れやストレスは、体温を調節する自律神経に負担をかけ、胃腸の働きを低下させることがあります。特に夏は、屋外と冷房の効いた室内との気温差が大きく、自律神経が乱れやすくなります。また、寝苦しさで睡眠が浅くなると、いわゆる夏バテの状態から食が細くなることもあります。
水分不足による食欲の低下
食欲不振には、水分不足も関係しています。高齢者は加齢に伴い体内の水分量が減少します。若い世代では体内の水分量が約60%であるのに対し、65歳以上では約50%程度といわれます。また、暑さやのどの渇きを感じにくくなるため、気が付かないうちに脱水(かくれ脱水)が進むことも少なくありません。水分不足や脱水は胃腸の働きを低下させることがあり、食欲不振につながる場合があります。

高齢者の食欲不振が続くことによる悪影響
食欲不振が一時的なものであれば大きな心配はいりませんが、長く続くと体にさまざまな悪影響が現れます。特に夏場は、低栄養と脱水の両方が起こりやすいため注意が必要です。
食事量が減って栄養が不足すると、体力や筋力が低下します。その結果、筋肉が減る「サルコペニア」や、健康な状態と要介護状態の中間にあたる「フレイル」を招くことがあります。フレイルになると転倒や骨折のリスクが高まり、日常生活に支障をきたすおそれがあります。65歳以上の高齢者のうち、およそ1割がフレイルにあたるという報告もあります。
また、水分補給が十分でない状態が続くと、脱水や熱中症のリスクも高まります。実際に、2025年(令和7年)夏の熱中症による救急搬送では、65歳以上の高齢者が全体の約57%を占めており、発生場所は住居内が最も多いとされています。
さらに、脱水が進むと、体のだるさやめまいなどが現れ、食欲がさらに低下する悪循環につながることもあります。

高齢者が無理なく栄養を補給する工夫
食欲が落ちているときに「たくさん食べてほしい」と食事量を求めると、かえって負担になってしまうことがあります。大切なのは、少ない量でも効率よく栄養を摂れるよう、体調に合わせて食事を工夫することです。
食べやすく栄養価の高いメニューにする
食欲が落ちていると、食べやすい主食だけの食事になりがちです。特に夏は、そうめんやそば、冷麦などの麺類に偏って糖質中心の食事になりやすく、たんぱく質やビタミンが不足しがちです。そこでおすすめなのが、もう一品添える工夫です。卵や納豆、豆腐、ツナなどのほか、冷しゃぶなどを加えるだけでも、栄養バランスを整えやすくなります。また、一度にたくさん食べられないときは、1日3食にこだわらず、間食も取り入れながら食事の回数を増やす方法もあります。
栄養補助食品や栄養補助飲料を取り入れる
食事だけで十分な栄養を摂るのが難しいときは、栄養補助食品や栄養補助飲料を活用する方法もあります。少量でエネルギーやたんぱく質を補えるゼリータイプやドリンクタイプの商品は、食欲がないときでも取り入れやすいのが特長です。実際に、65歳以上の高齢者が経口栄養補助食品を続けて摂ったところ、体重やBMIの改善がみられたという報告もあります。ただし、効果には個人差があるため、利用する際はかかりつけ医や管理栄養士に相談することが大切です。

食欲不振については、こちらの記事でもご紹介していますので、ぜひご覧ください。
高齢者の栄養管理に欠かせない水分補給
栄養と同じくらい大切なのが、こまめな水分補給です。高齢者は体内の水分量が少なく、加齢によってのどの渇きを感じにくくなるため、一年を通して脱水に注意が必要です。特に夏は汗で失われる水分が多く、脱水を防ぐ意識が欠かせません。また、水分は体の調子を支えるだけでなく、認知機能の維持にも関わっていると考えられています。
水分不足と認知機能の関係
近年では、体の水分が不足すると注意力や集中力が低下しやすくなることが報告されています。また、高齢者は水分不足の影響を受けやすく、脱水と認知機能の低下との関連を指摘する研究もあります。ただし、水分を十分に摂ることが認知症予防につながるとは現時点では言い切ることはできません。しかし、こまめな水分補給は脱水を防ぎ、健康を維持するために大切な習慣です。

1日に必要な水分量とこまめな補給
高齢者が1日に必要とする水分量は、食事や代謝で得られる分を除き、飲み水からおよそ1.2リットルが目安とされています。一度にたくさん飲むことは難しいため、起床時や食事、入浴の前後などとタイミングを決めて少しずつ摂るのがポイントです。のどが渇く前に飲むことが、かくれ脱水の予防につながります。ただし、心臓や腎臓の病気などで水分制限がある場合は、かかりつけ医の指示に従うことが大切です。

高齢者の食欲不振と栄養管理を支えるセルリアの取り組み
高齢のご家族さまの食事や水分の管理を、ご家庭だけで続けるのは負担が大きいものです。セルリアでは、ご利用者さまが一年を通して健康に過ごせるよう、日々の栄養と水分の管理をサポートしています。
デイサービスでは、ご利用者さまへ定期的に水分補給の声掛けをおこなっています。スタッフが「コップで3〜4杯以上を目安に飲みましょう」などと声掛けし、暑い時期でも必要な水分をこまめに摂れるよう見守ります。量が少ないご利用者さまには一人ひとりに合わせた水分補給の方法をご提案するなど、工夫も取り入れています。
一例として、リハビリ型デイサービスのトータルリハセンター旗の台では、東京都の補助金事業でコンサルティングを担う株式会社ポラリスの指導のもと、ご利用者さまの水分管理に力を入れて取り組んでいます。
訪問看護では、看護師がご自宅にうかがい、栄養状態や水分の摂取量を把握します。必要に応じて、主治医の指示に基づく補液などの対応も可能です。食事や水分が摂りにくくなっている場合も、専門職が状態を確認しながら支援するため、ご家族さまの負担軽減につながります。
まとめ|高齢者の食欲不振は日々の栄養と水分補給から
高齢者の食欲不振は、加齢に伴う体の変化に加え、夏の暑さや脱水など、さまざまな要因によって起こりやすくなります。放っておくと低栄養やフレイル、熱中症のリスクが高まるため、早めの対応が大切です。食べやすいメニューや栄養補助食品の活用を心掛けるとともに、こまめに水分を補給することが、一年を通して元気に過ごす支えになります。セルリアでは、デイサービスや訪問看護を通じて栄養・水分管理をサポートしています。食事や水分補給についてお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。
食欲不振の予防、口腔ケアをお考えなら「DSセルリア」
当社では、訪問看護とリハビリ型デイサービスを提供しています。
「トータルリハセンター(TRC)」では、マシンを使った機能訓練などに加え、摂食・嚥下機能訓練や口腔清掃、口腔機能向上のためのプログラムなど多角的に日常生活動作(ADL)の維持・改善に取り組んでいます。
「DS訪問看護ステーション」では、病気や障害のある方が住み慣れた地域やご自宅でその人らしい暮らしができるよう、看護師や理学療法士・作業療法士などがご自宅に訪問して、その人にあった看護やリハビリテーションを提供します。
施設見学・ご相談は随時受け付けております
ご自宅での介護に関してお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
DSセルリア株式会社では、東京・千葉エリアにリハビリ型デイサービス「トータルリハセンター」や訪問看護ステーションを設け、地域に根ざした「訪問看護・リハビリテーションサービス」を提供しています。
また介護従事職にご興味のある方も、お気軽にお問い合わせください。

