高齢者の足がつる原因とは?夜のこむら返りを防ぐための予防と対策を解説

ふくらはぎを触る


夜中にふくらはぎが突然つって、痛みで目が覚めてしまうことはありませんか。高齢になると、このような「足がつる」症状(こむら返り)が起こりやすくなり、ご本人にとってはもちろん、介護をするご家族さまにとっても心配の種になりがちです。しかし、原因を知って早めに対策することで、こむら返りは予防しやすくなります。

今回は、高齢者が足をつる原因や仕組みを解説しながら、夜間のこむら返りを防ぐ予防法や対策、すぐに試せるストレッチをご紹介します。

足がつる(こむら返り)とは?

「足がつる」とは、自分の意思とは関係なく筋肉が強く収縮し、すぐにゆるまず固まってしまう状態のことです。ふくらはぎに起こることが多く、一般的に「こむら返り」と呼ばれます。なお、「こむら」とは、ふくらはぎを指す昔ながらの言葉です。
こむら返りは、ふくらはぎ以外にも、足の裏や指、太ももなどに起こることもあります。一度つると数秒から数分ほど強い痛みが続き、特に就寝中や明け方に起こりやすいのが特徴です。また、痛みがおさまったあとも、筋肉の張りや違和感が残ることもあります。

足がつる男性

足がつる仕組み

筋肉は、「縮む(収縮)」と「ゆるむ(弛緩)」をくり返すことで体を動かしています。
この動きは、筋肉や神経の働きに加え、体内の水分やミネラル(電解質)のバランスなど、さまざまな要素によって調整されています。
しかし、これらのバランスが乱れると、「筋肉を縮める」という信号の調整がうまくいかず、筋肉が縮んだまま元に戻りにくくなることがあります。これが足がつる仕組みのひとつと考えられています。

足がつる原因はひとつに限らず、複数の要因が重なって起こると考えられています。特に高齢者は加齢や生活習慣の影響によって筋肉や神経の働き、水分やミネラルのバランスが乱れやすく、若い方に比べて足がつりやすくなります。

足の筋肉

高齢者が足をつりやすい主な要因

高齢者が足をつりやすい背景には、加齢に伴うさまざまな要因があります。​​どれかひとつが原因となるのではなく、複数の要因が重なることで症状につながります。
ここでは、高齢者が足をつりやすくなる代表的な要因を順にご紹介します。

高齢になると喉の渇きを感じにくくなり、水分不足になりやすくなります。また、食が細くなることで、カルシウムやマグネシウム、カリウムといったミネラルも不足しがちです。体内の水分とミネラルのバランスが崩れると、筋肉や神経の伝達が乱れ、足がつりやすくなります。さらに、利尿作用のあるお酒やお茶を多く飲むと、水分が失われやすいため注意が必要です。

体が冷えると筋肉や血管が収縮し、血流が低下します。その結果、筋肉に酸素やミネラルが十分に届かなくなり、足がつりやすくなることがあります。特に高齢者は筋肉量が少なく、熱を生み出す力も低下しやすいため、冷えの影響を受けやすいとされています。

寒がる高齢者

歩行や立つ姿勢を支えるふくらはぎの筋肉は、加齢とともに衰えやすい部位です。筋力が低下すると筋肉が疲れやすくなり、わずかな負担でも足がつりやすくなります。また、神経と筋肉の情報伝達がうまくいきにくくなり、筋肉が過剰に収縮しやすくなると考えられています。

このように、高齢者の足がつる原因は、複数の要因が重なって起こることがほとんどです。また、利尿薬など一部の薬の副作用や、糖尿病、甲状腺の病気、下肢の血管の病気といった基礎疾患が関係していることもあります。
頻繁に足がつる、足のつりが長時間おさまらない、しびれなどの症状を伴う場合は、病気が隠れている可能性もあります。気になる症状が続くときは、早めにかかりつけ医へ相談することが大切です。

高齢者の足のつりを防ぐ4つの対策

足のつりは、毎日の生活習慣を少し見直すことで防ぎやすくなります。ここでは、ご家庭で取り入れやすい4つの対策を紹介します。

夜中のこむら返り対策のひとつとして、就寝前にコップ一杯の水を飲む方法があります。また、運動の前後や汗をかいたあとも、水分をこまめに摂りましょう。
高齢者は喉の渇きに気が付きにくいため、時間を決めて水分補給する習慣を付けることが大切です。

寝る前の水分補給

カルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルは、筋肉の働きを整えるために欠かせない栄養素です。乳製品や大豆製品、海藻、野菜、果物などをバランス良く取り入れることを心掛けましょう。
食事だけで足りないときは、医師に相談のうえサプリメントを使うのもひとつの方法です。

入浴はシャワーで済ませず、できるだけ湯船に浸かって体を温めましょう。また、寝るときは夏場でも薄手の布団をかけ、エアコンで体を冷やしすぎないようにすることも大切です。レッグウォーマーや靴下をはいて足元を温めることも、冷え対策として効果的です。

睡眠中の高齢者

睡眠不足や疲労も、足がつる一因になります。規則正しい生活を心掛け、十分な睡眠をとることが大切です。また、日中に軽い運動やウォーキングを習慣にすると、ふくらはぎの筋力維持につながり、足がつりにくい体づくりにも役立ちます。

今日からできる足のつり予防ストレッチ

毎日のストレッチは、足のつりの予防に役立ちます。就寝前や起床後など、無理のないタイミングで続けてみましょう。
ストレッチは、筋肉を急に伸ばすと肉離れにつながることがあります。そのため、ゆっくりと動かし、痛みを感じない範囲でおこなうことが大切です。

ストレッチ中の高齢者

就寝前の習慣にしやすい、基本のストレッチです。次の手順でゆっくりおこないます。

  1. 床に足を伸ばして座り、つま先を両手で持つ。
  2. 膝をまっすぐ伸ばしたまま、つま先を体のほうへゆっくり引き寄せる。
  3. ふくらはぎが伸びるのを感じながら、20〜30秒ほどキープする。

手が届かないときは、足にタオルをかけて引っ張るとおこないやすくなります。痛みを感じない範囲で、心地よく伸びていると感じるところで止めましょう。

ふくらはぎだけでなく、太ももや足首をほぐすと、足全体の血行がよくなり、足がつるのを防ぐのに役立ちます。ここでは、太ももの前側と足首を順番にゆっくり伸ばしていきます。

太ももの前側

  1. 立った姿勢で壁に手をつき、体を支える。
  2. 片方の足を後ろに曲げ、かかとをお尻に近づける。
  3. 太ももの前側が伸びるのを感じながら、左右それぞれおこなう。

足首

  1. 座った状態で、片方の足を手で持つ。
  2. 足首をゆっくり大きく回す。
  3. 左右それぞれ10回程度を目安におこなう。

立っておこなう場合は壁に手をつくなどして、無理のない姿勢で安全に取り組みましょう。

まとめ|夜のこむら返りは毎日の予防で防げる

高齢者の足のつりは、水分やミネラルの不足、冷え、加齢による筋力低下など、複数の原因が重なって起こることがほとんどです。特に夜間は足がつりやすい条件がそろいやすいので、就寝前の水分補給や体を温める工夫、毎日のストレッチなどを習慣にして予防していきましょう。

一方で、頻繁に足がつる場合は、薬の副作用や病気が関係していることもあります。症状が続くときや気になる症状があるときは、ひとりで悩まず医療機関へ相談することが大切です。

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